こんにちは!英文校正ワードバイスです。
研究者としてのキャリア評価はなんといっても論文発表数やその影響力(掲載ジャーナルのインパクトファクター)が基準となります。出版済み論文リスト(publication list)の長さが研究者としての業績のすべてを判断する指標にはならずとも、大学・研究機関や企業、学術団体が研究者の基本的な採用評価基準として参照されるのは事実です。
しかし研究とは一朝一夕で完成するものではなく、ジャーナルの審査結果も一日二日で受け取れるものではありません。それならば、レジュメでアピールできる成果物の数を効率的に増やすには、どうすればいいのでしょうか。
答えは意外なところから見つかります。「論文」出版以外の方法を考慮すればいいのです。研究者の功績を評価する際に基準となるのは、研究論文だけではありません。アカデミックな経歴として評価される原稿の形式は、下の表で紹介しているように他にもたくさんあります。表中では原稿タイプに概要と特徴、エディターによる要請が必要か・自由投稿か、著者数・引用文献数・単語数の制限などについて整理してあります。実際に掲載されている記事の例も付け加えておきました。
ジャーナルではほとんどの場合、受け付ける記事の性格に合わせて別途のガイドラインを定めています。下記のリストを参考に特定のジャーナル投稿を見据えて原稿を書く場合、必ず先にジャーナルの投稿規定を確認しましょう。
原稿タイプ | 概要 | 例 |
症例研究を含む一般的な研究論文(Original Research Papers, including Clinical Cases Studies) | 基本的にIMRDのセクション構成を有する、一般的な研究論文。参考文献リストや図表が含まれる。
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簡単なレポート・事例報告(Brief Reports/ Case Reports) | 新しい治療方法や臨床事例の報告書のように、「発見」をいち早くレポートすることに重点を置いた簡単な原稿。例えば事例報告は1-3人の患者・家族についてレポートするのも可能。
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レビュー論文(Review Articles) | 新しいデータについて扱うのではなく、一つのテーマについて直近に発表された情報をまとめた要約型論文。扱うのは最近6か月~1年の範囲の情報とし、同じ内容の繰り返しではなく客観的なアプローチで新しい解釈を提供する必要あり。
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体系的な文献レビュー/メタ分析(Systematic Reviews/ Meta-Analyses) | 一つのテーマに関する情報の総合的なレビュー記事であり、主にそのテーマの発展の歴史やアプローチなどについて調査した内容。体系的文献レビューは、明示的な方法を使用しながら他の研究データを分析するもの。統計的方法(メタ分析)は研究に異なる加重値を適用。体系的文献レビューの場合、一から新しい研究を行わないため、研究的疑問に対する答えを探すには効率的な方法。
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エディターに送るリサーチレター(Research Letters to the Editor) | 研究結果について簡潔に提示した書簡
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最近の掲載論文に対してエディターに送るレビューレター(Letters to the Editor regarding Recently Published Articles) | 直近号で掲載された論文に対する簡単なレビュー。参考文献は一般的にレビュー対象の論文に対して同意・反論する根拠として引用し、レビューを受けた論文の著者はそれに対して返答することもできる。論文での結果に対して異なる解釈を提示するための方法として有用。
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社説: 意見や論評(Editorials: Opinions and Other Commentaries) | ジャーナルには様々な形の社説がある。臨床ジャーナルの場合、社説は政策や倫理的問題、臨床研究に影響を与えうる国際的なイシューなどに重点を置いたものとなる。また、新発見(例: 新技術・新ソフトウェア)を紹介したり、政策を提案することもできる。ジャーナルの読者層に影響を及ぼす問題に対する解釈を提供し、分野全体の見識を深めるために、エディターが社説の投稿を要請することもある。
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視点/理論的論文(Perspectives/ Theoretical Papers) | より主観的なアプローチで理論・モデル・概念や論争について扱う論文。
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プロトコルやデータの共有・方法論に関する専門記事(Specialized Articles regarding Protocols, Data Sharing and other Methodology-Related Content) | Research Elements とはデータ・ソフトウェアコード・材料・方法に関わる専門的な記事や映像を簡単に共有するためのElsevierの姉妹紙。Natureの “Protocols”のように、他の出版社でも同様の形式あり。簡単な査読があり、Protocolsのように研究論文よりも厳格な投稿規定を指定している場合があるので注意。この形式の原稿は研究の透明性、再現性、研究協力の促進に主眼を置いており、オープンアクセス(open access)の場合もそうでない場合もある。
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書評(Book Reviews) | そのジャーナルの読者層が興味を持ちそうな文献の書評。一つの本について扱うことも、また一つのテーマについていくつかの本について評論することもできる。
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学会論文/学会資料集(Conference Papers/ Conference Proceedings) | 学会論文の場合、研究の中間段階の結果に重点を置く場合が多いが、コンピュータ科学のような一部の分野では学会論文(conference paper)がジャーナル論文より高く評価される場合もある。学会から論文を出版した場合はより強力。例えば、Institute of Electrical and Electronics Engineers, Incorporated (IEEE)で論文が刊行物に掲載された場合ジャーナル論文と同等の扱いとなる。特にIEEEの場合は学会論文誌として評価が非常に高い。
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補足資料
それぞれのジャーナルや記事形式について詳しくは下のリンクを参照してください。
- Elsevier 論文タイプ
- Natureに掲載されているその他の資料
- Natureが出版している主な原稿タイプ
- The New England Journal of Medicine の論文タイプ解説
- IEEE Xplore Digital Library、IEEE学会論文データベース
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