こんにちは!英文校正ワードバイスです。
今回の記事は前回までの論文執筆方法解説記事に引き続き、Discussion(考察)セクションの効果的な執筆方法についてご紹介します。
英語論文でのDiscussion(考察)の目的
簡単に言えば、Discussionとは序論(Introduction)で述べた自分の研究テーマに関して説明するためのセクションです。これまでの記事でも紹介してきたように、序論部分で「なぜこの論文を読む価値があるのか?」という問いに対する答えを述べたならば、Resultsセクションでは研究プロセスにおいて収集したデータを図表を用いて分かりやすく提示します。しかし、結果セクションでどれだけ有意義な結果を得られていても、Discussionでその結果を十分に考察できていなければ、研究結果が有意義なものとして注目を集めることは容易ではありません。論文を書くとき、大部分の研究者がDiscussion部分の修正に時間をかけるのもこのためです。
トップジャーナルNatureの規定によると、Discussionセクションは1~2段落でIntroductionでの内容と対応した研究結果の考察を記述する、としています。また、Discussionセクションでは、該当分野での後続研究への展望を記述することも忘れてはいけません。論文執筆経験のある研究者ならば、以上の内容を2段落に収めるのはとても困難なことが分かると思います。
それならば、効果的かつ簡潔なDiscussionセクションを執筆するためにはどうすればいいのでしょうか?
Discussion(考察)に記述すべき内容
繰り返しますが、Discussionセクションの目的はIntroductionで提示したテーマについて、研究結果を活用して解説することです。Discussionセクションに含まれるべき必須項目は次のようになります。
- 読者がその研究に関心を持つべき理由を解説
- 研究結果を活用しながら、その研究が埋めようとする「知識の空白(knowledge gap)」について説明。
- Introductionで書いた内容は繰り返さない。その代わり、科学的「知識の空白(knowledge gap)」を埋めるためになぜその研究が必要だったのか、また、そもそもその空白を埋めることがなぜ重要なのか、という問いに答えるように執筆する。
- その研究が読者の知識をどのような形で発展させられるのか説明しながら、後続研究が活発に行われるよう読者を鼓舞する。
- 研究を通して新たに獲得できる知識について明確に説明
- Introductionで提示した研究テーマについて説明し、研究結果が論文の結論をどう裏付けているのか説明する。
- 統計的に有意でなかった結果を含め、すべての研究結果についての考察を行う。
- 最も注目すべき研究結果に重点を置き、全体を執筆する。
- Resultsセクションで述べた内容は繰り返さない。その代わり、研究仮説と関連させて該当する結果を論じること。“[The first result] was this…”よりも “[The first result] suggests [conclusion]” と書くほうが望ましい。
- 自身が下した結論が既存の文献の内容と合致するかどうかについて説明
- 自分の研究結果が、現在知られている該当分野での既存知識とそこから予想された結果と合致しているのか考察し、説明する。
- 自身の研究結果の強みと、それと異なる既存の研究結果の弱みを強調することで、読者を説得するように執筆すること。
- 予想外の結果が得られた場合は、その理由を考察して説明する。自分の研究での結論が、既存の文献の内容と合致していない場合は、そのことも説明する。
- 自分の研究の限界を明確に提示し、その限界が研究結果を解釈し立証するにあたってどのように関連しているのか説明する。
- 自分の結論の弱点について認め、それを補完するための後続研究の方向性を提示する。
- 自分の研究で当然行われなければならなかった部分を、後続研究の課題として設定してはいけない。研究デザインそのものに対する不信感を誘起する可能性があるため。
- クリティカルでありつつも、自信を持った論調で記述すること。徹底した結果分析が行われており、その研究結果が読者の知識基盤を拡張させるのに確実な貢献をする、といったイメージを与えられるように記述する。
- 後続研究に対する提案事項を記述
- 自分が論文の形で共有した知識をもとに、他の研究者が後続研究ができるよう、提案事項をDiscussionセクションにて記述する。
- ただし、提案事項は簡潔に作成すること(2つ以下)。
Discussion(考察) 執筆方法
次はDiscussionセクションを執筆する上でのコツについてお伝えします。
技術的側面(Technical writing elements)
- 受動態(passive voice)を使用すると表現が不自然になったり、文章が冗長になる場合があるため(wordiness)、能動態(active voice)を使用すること。
- Introductionと同様に現在時制を使用を心がける。
- 必要に応じて一人称を使用しても良いが、研究結果により重点を置きたい場合は使用を避けた方が良い。
- 客観的で分析的な論調を心がける。
構成面(Organization)
- Results、Methods、Discussionセクションに一貫性を持たせること。
- 論文のすべてのセクションを同じパターンの文章構成にすると読者が理解しやすい。
- 読者は通常Resultsの内容をもとに論文全体のメインとなる内容を判断するため、Discussion部分でもそれと同様の文章構造を使用すると読者が理解しやすく、また、同一内容の反復を避けるのにも役立つ。Discussionセクションは2~3段落で構成するのが望ましいため、wordinessな表現をできる限り削ることも非常に重要。
- Discussionは具体的に(A) 結論、(B) 関連する実験結果および結論との関連性、(C) 関連する文献の順序で執筆すると良い。
- 最後の段落は研究テーマの全体像を説明しながら、Discussionを簡潔に要約して締める。Discussionの最初の段落では我々の科学的「知識の空白(knowledge gap)」を埋めるために “なぜこの研究が必要だったのか、その空白を埋めることになぜ意義があるのか”について記述したならば、あとは“この研究がその空白をどのように埋めるのか”述べることで論文全体の締めくくりとする。
以上の内容を参考に、力強い論文を完成させられますよう、英文校正ワードバイスも応援しております。
英語論文の書き方シリーズ参考記事
- [動画講義] 英語論文の「IMRAD」各セクションの書き方
- 説得力ある英語論文序論(Introduction)の書き方
- 英語論文での研究方法(Methods)の書き方
- 英語論文のResults(結果)セクション執筆のコツ
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