2023年10月23日

英語の並列構造(parallel structure)のルールとは

Wordvice

こんにちは!英文校正ワードバイスです。

前回の記事(冠詞(a,an,the)の使用方法)で日本人が特に間違いやすい英文法の中には、a,an,theのような冠詞の使用があると述べましたが、それだけではありません。

日本語を母語とする英語学習者にとって「並列構造」も間違いが起きやすい文法の一つと言うことができます。

英語ある種、数学的な側面を多く持った言語と言えます。英作文の中である要素同士を並列して述べようとするとき、本当にその要素を構成する単語が「同等か」ということに注意しなくてはなりません。つまり、文法機能上の分類が異なる単語や表現同士を並列して述べてはいけないというルールがあります。

ミスが起こりやすいポイント

いくつか例を見てみましょう。

  1. I like apples, oranges, and going to the zoo.
  2. The coach advised that I should eat healthily, exercise regularly, and that joining a gym would make this easier.
  3. Mary is a celebrated author, dancer, and writes great songs.

上の文章を読んで、何かがおかしいとピンと来た方はいらっしゃるでしょうか。いまいちよくわからないという方は、以下の解説を読んでから再度この文章を読み直してみてください。

上の文を分析してみましょう。緑・赤色で表された並列部分に注意して見てみましょう。

  1. I like apples, oranges, and going to the zoo.
  2. The coach advised that I should eat healthily, exercise regularly, and that joining a gym would make this easier.
  3. Mary is a celebrated author, dancer, and writes great songs.

赤色部分が間違っていることにお気づきでしょうか。

  • 文章1の構造: “I like noun, noun, and -ing phrase.”
  • 文章2の構造: “The coach advised that I should: (1) verb; (2) verb; (3) that -ing phrase.
  • 文章1の構造: “Mary is a noun, noun, and verb.”

英語で、上のように異なる文法要素の単語を並列させることはできません。上の文章の赤字部分は、他の並列要素とは異なる文法機能を持つ単語を示しています。

正しい並列構造にするためのポイント

正しい並列構造を持った文章を書くためには3つのポイントがあります。どれも並列要素のレベルを揃えるための方法です。

方法1: 並列要素のうち多数を占める文法要素に全体を統一する。

これは単純な構造をとる文章の場合に用いることができる最もシンプルな方法と言えます。複数の要素を並列して述べたい時には、まずすべての要素のレベルを一致させることを考えます。

誤った例 正しい例
1 I like apples, oranges, and going to the zoo. I like eating apples, eating oranges, and going to the zoo (“eating”の反復).
2 The coach advised that I should eat healthily, exercise regularly, and that joining a gym would make this easier. The coach recommended exercising regularly, eating healthily, and joining a gym. (ただし、このように書き換えるとジムの会員になることで運動しやすくなるという意味が抜け落ちてしまいます。)
3 Mary is a celebrated author, dancer, and writes great songs. Mary is celebrated because she writes books, dances, and writes great songs.

方法2: 並列要素のうち少数を占める文法要素に全体を統一する。

この方法をとると、文法構造を統一させたいがために同じ単語を反復して使用せざるを得なくなる場合があるため注意が必要です。また、方法1と同様に、文法要素を統一するためには詳細な意味が失われることも多く、複雑な構造をとる文章の場合には向いていません。

誤った例 正しい例
1 I like apples, oranges, and going to the zoo. I like eating apples, eating oranges, and going to the zoo (“eating”の反復).
2 The coach advised that I should eat healthily, exercise regularly, and that joining a gym would make this easier. The coach recommended exercising regularly, eating healthily, and joining a gym. (ただし、このように書き換えるとジムの会員になることで運動しやすくなるという意味が抜け落ちてしまいます。)
3 Mary is a celebrated author, dancer, and writes great songs. Mary is celebrated because she writes books, dances, and writes great songs.

方法3: 一文を複数の文に分ける。

上の方法1,2で一部のミスを修正するうちに、文章全体で表したかった意味が伝わらなくなってしまったり、より冗長な文章になってしまうことがあります。そのような場合は、文章自体を複数に分離することで意味が伝わりやすくシンプルな文体にすることができます。

誤った例 正しい例
1 I like apples, oranges, and going to the zoo. I like eating apples and oranges. I also like going to the zoo.
2 The coach advised that I should eat healthily, exercise regularly, and that joining a gym would make this easier. The coach advised that I should eat healthily and exercise regularly. He also told me that joining a gym would make working out easier.
3 Mary is a celebrated author, dancer, and writes great songs. Mary is a celebrated author and dancer. She also writes great songs.

比較節(Comparative phrases)に要注意

単純な並列表現では並列要素同士が“and,” “or,” “but”のような接続詞でつながれます。しかし、次のような構文が並列構造とは意識しにくいので注意が必要です。: 修飾節 (modifying clause) (例: 関係詞節・分詞構文)や比較節(例: 相関接続詞)内の並列構造。中でも特に比較節の中の並列構造には注意しましょう。

  • 関係詞節(relative clauses): “that”や“which”を使用した構文
  • 分詞構文(participial clauses): 動詞を形容詞のように使用する構文。例) “This car is built to last.”
  • 相関接続詞(correlative conjunction): “not only…but also,” “either…or,” “neither…nor,” “if…then”のような構文
  • 比較節: 一般的に“than”や“as”を含む構文

上のような構文は、必ず並列構造を伴います。

上のような表現が含まれる文章を見直すときは、比較節や相関接続詞の後ろ部分を等号(=)と考え、「左右の文章が同一の構造をとっているか」必ず確認しましょう。

誤った例 正しい例
I like the big house built in 1910 and features two great living rooms. I like the big house built in 1910 that features two great living rooms. (接続詞を削除し、文法的に合わない並列構造を修正)
Mary owns a PR company, a place giving many growth opportunities and where people are rewarded based on merit (分詞構文 + 従属節). Mary owns a PR company, a place giving many growth opportunities where people are rewarded based on merit. (“and”を削除し、正しい並列構造に修正。これは分詞構文と従属節が接続詞で繋がれているほとんどの場合に使用できる。)
I not only like to play the violin, but also dancing. I not only like to play the violin, but I also like to dance.またはI like to not only play the violin but also dance.
Either we go to the store now or wait until next week. Either we go to the store now or we wait until next week.
I prefer to go on a vacation than a bonus. I prefer to go on a vacation than to receive a bonus.

動詞の時制に注意

並列構造の中でも最もミスが頻発しているのが、動詞時制に関わる部分です。例えば、次の文章を見てみましょう。

  1. “I really like this movie, which was why I bought it.”
  2. We knew that we had little time, work had to be finished, and we needed to hurry.

どこが問題なのでしょうか?もう一度見てみます。

  1. “I really like this movie, which was why I bought it.”
  2. We knew that we had little time, work had to be finished, and we needed to hurry.

文章1では現在時制と過去時制が同時に使用されています。文章2では“that” 節の後ろの並列要素の一つにのみ受動態が使用されています。これはネイティブの目から見ると明らかなミスです。下のように書き換えるのが適切です。

  1. “I really like this movie, which is why I bought it.”
  2. We knew that we had little time, we had to finish the work, and we needed to hurry.

並列構造を使用するときのチェックリスト

  1. 文中の接続詞と並列要素を見つけ出す。
  2. 接続詞を真ん中に置いて左右の文が同一の構造をとっているか確認。
  3. 節(clause)に注意して見たときに、並列している二つの節(clause)が同一の構造をとっているか確認。
  4. 接続詞の左右、また同じ修飾節(modifying clause)の中では同じ時制が使用されているか確認。

正しい並列構造を使いこなせていると、ノンネイティブであっても英語に対する深い理解と言語センスがあるという印象を与えることができます。洗練した英語を使う癖をつけ、論文受理率向上や海外大学合格を目指しましょう。

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