2023年04月18日

洗練された英文にするための「スタイル」のコツ5つ

Wordvice

こんにちは!英文校正ワードバイスです。

前回、遅ればせながら2016年ワードバイスライティングレポートを更新させていただきましたが、そちらをご覧いただいた方は英作文の校正事項のうち32%がライティングのスタイルに関係したものということをご存知のことと思います。

今回の記事では、そのようなライティングのスタイルの問題とはどのようなものなのか?そして、洗練されたスタイルを持つ英作文をするためにはどのような部分に気を付けたらいいのかについて中心的に扱う実践編です。

ネイティブが指摘する英語の「文体」とは?

文法ミスのような明確な誤りとは言えないライティングスタイルに関する指摘は、具体的にどういったものを言うのでしょうか。以下の項目に分けて見ていきましょう。

  • 受動態: “be動詞 + 過去分詞”の形で動作の受け手を強調する文法
  • 回りくどい表現(wordiness): 20-30単語にわたる長すぎる文章や、簡潔でない表現。
  • 指示する対象が不明確: 代名詞や限定詞(例:“this” 、“that” )が示すものが不明確である場合。例:“Joe gave Mark his book.”と言ったとき、“his”が示すのはJoeともMarkとも解釈できます。
  • 差別的・攻撃的表現: 文化、宗教、ジェンダーなどの面から差別的に捉えうる表現。
  • 話し言葉の使用: 格式が求められるレターや学術論文にふさわしくない口語体の使用。

上の5つの項目について、英文校正ワードバイスが校正を手掛けた文書では以下の割合でネイティブからのチェックが入っていました。

ネイティブが指摘する英語の「文体」

受動態関連の指摘が67%を占めているのが分かりますね。更にこのデータを分析した結果、ワードバイスでは、研究論文の29.5%、アドミッション文書の56.4%が受動態を使用しすぎているという事実を発見しました。

研究論文では受動態の使用が適切?

英語論文やアカデミックライティングでは客観性を保つために受動態を使用した方が良いというのが定説になっていましたが、英文アカデミックライティングでの受動態と能動態の使い分け方法に関する記事でも扱っているように、受動態を使用しすぎるとむしろ文意が伝わりにくくなるため現在では推奨されていません。逆に能動態には文章をよりシンプルで伝わりやすくする効果があり、特に、長く複雑な専門用語が頻出することで文章の主語が分かりにくくなりがちな学術論文の場合、能動態を使用することで主語をより明確にすることができます。

ノンネイティブの英語がネイティブ校正者から「冗長だ(wordiness)」と指摘されやすいのも、受動態が一因となっていると言えます。科学論文では意図した内容が誰が読んでも分かりやすく、できる限りシンプルに表現されている必要があります。受動態にこだわらず、いかにして文章を伝わりやすくするかを意識してライティングを進めていきましょう。

特に出願用エッセイで受動態の使用を避けた方がいい理由とは?

一方アドミッションエッセイの場合、受動態の使用はとにかく避けるのが鉄則です。受験・就職やプログラム参加のために求められる書類は、基本的に受け入れ側があなた自身について知るための書類ということができます。よって、主語は常にあなたであることが大前提です。特にSOPやパーソナルステートメントなどの出願用エッセイでは受験生の目的意識や主体性が求められるため、あなたなりの信念のもとに意思決定ができる能力を文章からアピールすることが重要です。ここで受動態を使用してしまうと、どうしても文章から受けるイメージが受け身で消極的なものとなってしまいます。

より洗練された文体にするために

1.受動態

  • 受動態を能動態に書き換えるときは、まずは主語を確認し、単語順序を変えることでシンプルな“S + V + O”文型にしてみましょう。
    •  The speech was given by the mayor. →  The mayor gave the speech.
    •   名詞2+ “be” + 過去分詞 + by + 名詞 1→  名詞1 + 動詞+ 名詞2
  • 下のリンクもご参考ください。:

2. 回りくどい表現 (Wordiness)

  • 前置詞句やfiller単語、名詞化は冗長な表現に繋がってしまいます。以下の方法でシンプルな表現に置き換えましょう。
    • 前置詞句の置き換え
      •  in addition to →  also
      •  take into consideration →  consider
    • Filler単語の削減
      •  This is actually good →  This is good.
      •  I just want to say I like this song. →  I like this song.
    • 名詞化を避ける
      •  He must make a decision about his future. →  He must decide his future.
      •  This study takes many factors into consideration.→  This study considers many factors. または This study contemplates many factors.
  • Wordinessな文章を避けるには、同じ表現や単語の反復使用を見直すことも有効です。
    • 特定の用語でない限り、2~3行の間で同じ単語や表現を使用しないようにする
    • 同義語(synonym)に置き換えるか、重文のように文章構造を変える
    • 文章の流れや論調に合った置き換え語(substitute word)を使用する。ただし下の文章で“同義語(synonym)”の代わりに“置き換え語(substitute word)”を使用してしまうと、意味が変わってしまうので注意。
      •  I like the house. The house is on a hill.→  I like the house on the hill.
  • 下のリンクもご参考ください。

3. 示す対象が不明確

  • “this”や“that”のような限定詞や代名詞を使用する場合は、それが示す名詞とできるだけ近くに配置するのがポイントです。
  • 一般的に指示詞と指示対象が離れるほど混乱を生みやすくなります。特に同じような性質を持つ単語2つが近くに配置されている場合指示対象が分かりにくくなるので注意が必要です。例えば、“Joe gave Mark his book”と言うと“his”が誰を示しているのか分かりません。誤解を生まないようにするためには、(1)代名詞を使用せずに同じ名詞を繰り返す (文が冗長になってしまう弊害あり) (2) 下の例文のように文章自体の構造を変える。
    •  Joe gave Mark his book. →  Joe gave Mark Joe’s book (不自然な文章) →  “Joe gave his book to Mark.” または “Joe returned Mark’s book to him.” [最初の文章ではJoeの本、二つ目の文章ではMarkの本]
  • 下のリンクもご参考ください。

4. 差別的・攻撃的な表現

  • このタイプのミスは全体としては少数でしたが、読み手の与える印象を左右するため注意が必要です。
  • 人々のライフスタイルや価値観が多様化し、またその全員が活発に交流する現代では、自分の言葉が他者に与える影響を常に考慮しなければなりません。特に、特定の誰かにとって不快感を与え得る表現は避けるのがマナーです。研究者は元来多様な集団について研究を行うため、論文をまとめる際にこういった言語使用の問題に直面することがよくあります。例えば臨床試験の参加者や社会の構成員について表現するときなど、知らず知らずのうちに特定の集団を卑下したり侮辱したりするような表現、いわゆるsterile languageを使用していないかチェックしましょう。
  • 集団について述べるとき、人種・性別・障害などについて一元化するような表現や先入観に基づいた記述は避けなければなりません。もちろん、誰にとっても100%差別的でない表現を使用するのは難しいことです。ここでは基本的に散見されるミスを挙げておきます。
    •  Each man must fend for himself. →  People should fend for themselves. [性差別的表現の修正。本当に男性のみを示すときは最初の文章を使用する。]
    •  The trauma victim… →  The person who experienced trauma… [“victim”のネガティブなニュアンスの緩和。”Suffered trauma”のような単語の使用も同様に不適切とされる。精神的なダメージを受けた人々の被害者イメージを強調し、当事者にとって不快な表現となり得るため。]
  • 下のリンクもご参考ください。

5. 話し言葉の使用

  • 口語体とは読んで字の如く、日常の対話場面において気軽に使用される単語・表現のことを言います。文章を書くときは文章が使用される場面と読み手を考慮し、適切なトーンを選択しなければなりません。基本的に英文校正を利用するような文書の場合ある程度の格式が求められる文書であることがほとんどなため、口語体や短縮形(例: don’t, can’t, won’t …)の使用は禁物です。また、慣用表現の多くが口語体にあたるため、不安な場合は Collin’s English Dictionary のような辞書で確認しましょう。
  • 下のリンクもご参考ください。

今回の内容を読んだだけでも過去のライティングでのミスが蘇ってきて、まだまだ英語学習の道は遠いと感じられた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ネイティブであってもこれらの注意事項を一つ一つ頭に入れて、毎回それと照らし合わせてライティングをしているわけではありません。感覚が身につくまで、失敗しながらライティング能力を磨いていきましょう。

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この記事は、 简体中文 繁體中文 バージョンもご用意しています。

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