学術論文の研究を行う場合、一次資料と二次資料の違いを知っておくことが重要です。
一次資料とは出来事や現象に関するオリジナルで直接得た資料です。二次資料とは一次資料以外の材料、例えば一次資料の分析や解釈した出版書籍や記事の事です。
ここでは、一次資料と二次資料の違いとそれぞれの重要性を読者に理解して頂くように例を挙げて説明していきます。
一次資料(primary source)とは何?
一次資料とは、出来事や現象に関して直接得た資料を示します。一次資料は、課題に関してオリジナルで一人称視点であり、最も信頼のおける情報源です。
一次資料の常例
· 手紙、日記、政府記録のような原文
· 写真、ビデオ、演説の録音などの音声や画像
· 工芸品(artifacts)、道具(tools)、美術作品(works of art)のような物
· 研究家が行った研究や実験
· 科学ジャーナルの記事原文
· 出来事の写真やビデオ
· 専門家の演説やインタビュー
学問分野(academic discipline)別の一次資料の例
分野(discipline) | 一次資料 |
自然科学/物理学(Natural/Physical Sciences) | 統計データ(statistical data) 実証研究(empirical studies) 出版されたオリジナル文書(レビューではなく) |
歴史(Hisory) | 手紙、日記 写真、録音(音声、ビデオ) 工芸品(artifacts)、遺品(relics) |
社会科学(Social Sciences) | インタビュー記録(transcripts of interviews) 新聞、雑誌 ソーシャルミディアのコメントやポスト |
政治学(Political Science)と法学(Law) | 法廷文書(court documents) 弁論趣意書(legal brief) 裁判所の見解(judicial opinions) 政府記録(government records) |
芸術(Art)と文学(Literature) | 出版されたり発見された小説、詩 オリジナルの芸術品 写真 映画、パフォーマンス |
二次資料(secondary source)とは?
二次資料とは一次資料ではない情報源です。二次資料は出来事や現象が起きた後で作られた資料で、一次資料の分析や解釈をする資料です。
二次資料の例
· 一次資料を分析したり解釈した書籍や出版記事
· 歴史的人物や出来事の背景の情報を提供する伝記や他の作品
· 一次資料のレビューや批評
· 一次研究の要約、文献レビュー、メタ解析
· 課題に関する背景情報を提供する教科書や他の教材
· 原書の歴史的な分析や解釈
· 分析や比較をする為に一次資料を使用した研究記事
一次資料と二次資料の両方を研究に使う場合
小説や興味深い学術研究や文書を作成する際、一次資料と二次資料の両方が必要です。研究をする上で、一次資料と二次資料を合わせて取り入れる事が重要です。一次資料は、証拠、論議、結論を提供する時使うべきであり、二次資料は文脈、背景の情報提供に必要であり、その上一次資料の重要性を読者に理解させることが出来ます。
例えば、米国南北戦争の原因に関する文書を執筆するとしましょう。一次資料として、当時の演説、新聞の記事、政府文書を使って証拠や論議を記述することでしょう。そして二次資料として、文脈や背景の情報提供、そして一次資料の重要性を理解する為、過去の作品やジャーナルの記事を使うことでしょう。
かといって、全ての一次資料が全て同等に信頼性があるわけではないので、使用する情報源には注意を払って査定する事が重要です。一次資料の中には偏見があったり、信頼出来ないものもあります。研究に使用する前に、十分な信頼性の確認が必要です。
要約箇所では、一次資料は課題に関する直の情報を提供して、最も信頼性のある情報源だと見なされます。一方、二次資料は一次資料の解釈、分析、論評を提供してくれます。研究をする上で、一次資料と二次資料を併用して使う事は重要ですが、使う資料には深い注意を払って評価する事をお忘れなく。
一次にも二次にもなり得る資料
一次と二次資料は必ずしも明確に区別されているわけではないことを覚えておいて下さい。研究課題では、使われる資料の内容によっては一次資料とも二次資料とも見なされるからです。資料を作成した人物、内容、テクニックが研究の主旨であるとすれば、それは一次資料です。そうではなく研究の主旨をサポートする資料であれば、それは通常二次資料です。
下記では、一次とも二次とも見なされる資料をご紹介します。
レビューとエッセイ
例えば小説家のドン・デリーロ(Don DeLillo)を課題とする文書を書く場合、彼の最新小説のニューヨーカー誌(The New Yorker)でのレビューは二次資料になります。でも、長年にわたって評論家たちが彼の作品をどう解釈してきたかに焦点をあてて執筆する場合は、そのレビューは一次資料となります。
新聞と雑誌の記事
環境に関する政策分析が研究目的であれば、環境政策に関する雑誌の記事は二次資料になります。ところが、出版物が政治問題をどう評価しているかを研究目的とするのであれば、その雑誌記事は一次資料となります。
ドキュメンタリーや短編映画
1990年代のイギリスのトランス音楽(Trance music)の急上昇の研究をする場合、その課題に関するドキュメンタリー映像は二次資料です。ところが、自主製作映画で用いるシネマ・ベリテ(cinema verite)風の手法に関する文書であれば、そのドキュメンタリー映像は一次資料となります。
情報源が一次資料か二次資料であるかの見分け方
研究で用いる情報源を一次資料とみなすか二次資料とみなすかの判断は、下記の基礎的な質問に答えて考慮してください。
· 情報源自体(一次資料)を評価したいのか、それとも追加/背景(supplementary/background)情報(二次資料)として提供したいのか?
·その情報源は完全にオリジナル(一次)であるか、それとも別の情報源(二次)から取得した情報と混合されているか?
·その情報は実際に出来事に直接関わった人物から、もしくは別の手段で直接得た情報(一次)であるか、それとも間接的に得た情報(二次)であるか?
一次資料と二次資料の引用
一次資料を引用する場合、通常は、作家名(author’s name)、作品名(title of the work)、出版物情報(publication information)、情報が記載されているページ番号(page number)を記載します。例えば、ジョン・スミスが書いた記事を一次資料として引用するのであれば下記の記述になります。
Smith, John. “The Impact of Climate Change on Agriculture.” Science, vol. 325, no. 5945, 2010, pp. 815-818.
二次資料を引用する場合は、通常は、作家名(author’s name)、作品名(title of the work)、出版物情報(publication information)、情報が記載されているページ番号(page number)を記載します。例えば、ジェーン・ドーが書いた記事を二次資料として引用するのであれば下記の記述になります。
Doe, Jane. The History of Climate Change. University Press, 2012, pp. 45-50.
引用フォーマットはインストラクターや出版社から指示された引用スタイルに基づくことが重要です。多く使われる引用スタイルにはAPAスタイル、MLAスタイル、シカゴ(Chicago)スタイルがあります。
一次資料と二次資料、どちらを選ぶべき?
前記した通り、大抵の学術研究は一次資料と二次資料の両方を使用します。両方の資料を使うことで、違った視点から説得力のある議論を作り出すことが出来るのです。一次資料が物証の根底であると同時に、二次資料でその作品が他分野に与えた影響や、他の文献が発見や影響をどう支持しているのかを明らかにする事が出来ます。
一次資料の役目
一次資料はオリジナル研究の基盤です。下記のような分野に役立ちます。
· 小説内での論理や発見を提案
· 具体的で説得力のある証拠を提供
· 提案や議論の権限を付与
文書で一次資料を使わないと、オリジナルでないと見なされ、他の評論家たちの意見のみを使うので説得力に欠けてしまいます。
二次資料の役目
一次資料が直接的で不動な基盤を立証する傍ら、二次資料は課題に関する他の研究者たちの見解や意見を与える事で読者の視野を広げます。更に、二次資料は、多数の一次資料を併合するので、執筆者のみでは収集が難しい沢山の情報を提供してくれます。二次資料は下記のような幾つかの目標を達成してくれます。
· 具体的であったり一般的な課題の背景や詳細を提供できる(例えば、科学研究に関する関連文献のレビュー/review of relevant literatureで類似研究の結論提供が可能)
· 自らの研究論点を他の研究や研究者たちと調和させたり対比出来る
· 執筆者や研究者として一人では容易に収集できない情報を一次資料の情報源から事実と論点を一点に集中させることが出来る(例えば古風言語/archaic languageの翻訳や解釈)
他に比を見ない文献レビュー(literature review)を執筆する場合、執筆者は二次資料を使って研究課題に関する更なる詳細の概要を提供することが出来ます。更に、二次資料で分析された一次資料は、執筆者が何層もの証拠提示を希望する場合は、同じ研究内で引用が可能です。
出版前の情報源の準備
必ず覚えておいて欲しいのは、剽窃行為を避ける為に全ての一次資料と二次資料を引用文献として記載することです。情報源の正しい引用方法は、ワードバイスの無料のサービス引用・参考文献自動作成をご利用下さい。
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● MLAスタイルの引用・参考文献自動作成 (MLA 文献ガイド)
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● バンクーバースタイルの引用・参考文献自動作成 (バンクーバー文献ガイド)
そして投稿するジャーナルに提出する前に、英文論文校正サービスなどのワードバイスの英文校正サービスをご利用下さい。
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