研究論文には、既存文献に知識を加えたり、既知観察を再検討したり、具体的な解決策を発見したりして、必ず課題究明に関する記述があります。
あなたの研究発表がその分野や科学会全体に及ぼす貢献度は、研究の「基礎」(例えば、特定の課題に対して、今後研究者達が応用できる知識を提供しているか)と「応用」(例えば新しい技術(techniques)、課程(processes)、製品(products)を発展させる)によります。いずれにしても研究計画書(research proposal)や研究論文には、究明した「課題」の明確な記述が必要で、更に、その研究を選んだ理由、その研究が適切である理由、その研究方法が相応しかったか、研究結果は有効であったか、そして提示した質問に答えていたかを読者に伝える事が大切です。
目次
1.研究の課題とは何か?
2. 研究論文の課題ステートメントの書き方
3. 課題ステートメントの例文
4. 論文内の課題ステートメントの位置
5. プロの編集サービスの利用を考慮してみては?
研究の課題(Research Problem)とは何か?
研究課題とは、研究で取り上げたい既存の知識、特定の過程(例えば有権者登録)での問題点、既知されて十分に文書化されているけれど結論が出ていない実践(例えば患者の治療)、もしくは更なる究明を必要とする驚くべき現象や早期発見から発生する相違を意味します。研究のアプローチは理論的で実践的でも構いませんが、あなたが取り上げたい課題の種類は、研究の種類によって異なってきます。
どのような場合でも、他の研究者が既に公表した声明を繰り返したり、自らの研究では答えが出ないような大きな課題を選んだり、あまりに漠然すぎて研究動機が読者には理解して貰えないような事態は避けるべきです。これらの問題を避ける為には、先ず研究課題を明確に定義して、文章にして、その研究分野、広範囲にわたる研究コミュニティ、もしくは一般社会においての課題の重要性を強調するべきです。
研究論文の課題ステートメントの書き方
1. 状況(Context): 研究課題の状況を説明すると、情報背景や、この研究を選んだ理由、解決したかった課題、そしてその研究の適切性を読者に伝える事が出来ます。同課題を解決する為に試みた既存の情報はあるけれど、それは不完全で更なる改善が必要ということであれば、それらの情報はここで記載しましょう。もしも応用研究をするのであれば、研究課題(the problem statement/research statement)では、特定の問題が起こる場所と、その為に影響を受けるのは誰であるかを読者に知って貰うべきです。基礎研究や理論的研究においては、自身の研究の基礎形成となった同課題に関する既存の文献との関連性を引用して、あなたの研究の位置付けと、あなたの課題の参考となった既知識との相違を読者に伝えるべきです。
2. 関連性(Relevance): 更に、課題ステートメントには自らの研究の必要性を定義する事、研究計画書の執筆の場合は、これから行う研究の必要性を明確に定義するべきです。問題が発生し続けたらどうなるか、そして最も影響を受けるのは誰であるかを自分に問いかけてみるように。もしも探求した研究結果や提案が自らの研究課題を超えて広範囲に関連性があるのであれば、その事もここで記述します。基礎研究においては、知識増進に必ずしも明確な実践的結果が伴う訳ではありませんが、それでも自らの研究提案の識見が全体像の中のどこにフィットするのか、そして自らの研究が将来の研究に導き得る可能性がある事を読者に明確に説明することが重要です。
3. 目的と目標(Aims and Objectives): 読者に研究の概要と研究の重要性を伝えた後は、簡単に研究デザインと研究方法を記述します。その記述の中で、更に明確に研究目的を述べ、研究要素を全て記述して、読者自身に(a) 研究の背景となった理論的根拠と(b) あなたのアプローチに納得できたか、を判断して貰います。この部分が実際の「課題ステートメント」であると言っても過言ではありません。その為、読者に伝える前に、全ての明確な必需詳細の準備が必要です。引用する背景文献(background literature)が広範囲過ぎたり、前の箇所で序説した課題が漠然とし過ぎているにも関わらず、実践した実験の内容をいきなりこの箇所で記述したりすると、読者は困惑してしまいます。なので、読者が理解出来るように、合理的構造に基づいた説明と、研究の詳細を一つも見落とさないことが重要です。
課題ステートメントの例文
オンライン学習に関する実践調査研究の課題ステートメントの例をあげてみます。あなたのステートメントはもっと長文かもしれません(研究背景を説明する箇所は特に)し、あなたが引用する既存文献は全て記載する必要があります。”context”、”relevance”、”aims and objectives”はヘッダーには入れない事。何故なら、これらは別の文段落での記述を要するからです。いずれにしても、あなたの研究の課題ステートメントが既にこの文書構造に沿って執筆されているのであれば、研究の重要性を読者に納得させるのは簡単なはずです。
状況(Context): コロナ禍の初期以来、世界中のほとんどの教育機関は完全オンライン学習に切り替えた。少なくとも感染とソーシャルディスタンスのピーク時にはそうしていた。この推移は簡単では無かったし、パンデミックが始まってから2年経過した今でもオンライン学習上の問題は続いている(参考文献の記載要)。テクノロジーや機械器具へのアクセスが可能な人々と可能ではない人々のギャップが大きくなっていったことが主な問題(参考文献の記載要)であると定義づけられている一方、オンライン学習は場所や距離に難関を抱える多くの生徒たちに学習の機会を提供できると主張する人々もいる(参考文献の記載要)。
関連性(Relevance): 教員と生徒たちはパンデミック前の正常な状況に戻るのを待てない為、ここ2年間に学校や大学が実行した措置、有利点と不利点、これらの措置が生徒たちの進歩にもたらした影響、満足度、身体と精神状態などを理解する事で改良が可能になり、取り残された人口層が直ぐにでも援助を受ける事ができるのです。
目的と目標(Aims and Objectives): 学習環境のどの部分に変化が発生したのか、そして、その変化が様々な学生の評価に如何なる関連性があるのかを識別する事が最大の課題であった為、米国内の2大都市(ニューヨークとシカゴ)、韓国の1大都市(ソウル)、英国の1大都市(ロンドン)の合計4大都市にある10の高等教育機関の教員と生徒を対象にアンケートとインタビューを行った。生徒たちを異なるターゲット層にまとめ、各層が現状況から受けた影響の違いを分析した。
論文内の課題ステートメントの場所
研究企画書(research proposal)を執筆する場合は、本体の一番最初に箇所を分けて課題ステートメントを入れます (もしも異なる特定の文書構造やヘッディングの指示が出ている場合は、その指示に従って下さい)。課題ステートメントが学術ジャーナル出版物の研究論文原稿の一部なのであれば、序説箇所(introduction section)に状況や背景として文献レビューを記載するべきです。論文の他の箇所を執筆した後で序説箇所を執筆する場合は、この箇所で記述する研究課題やアプローチが要約(abstract)箇所で記述する情報と一致している事を確認して下さい。ここで取り上げる全質問の答えを考察箇所(discussion section)の最後で記述する事が、文書の一貫性を保つ重要なカギです。
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