学術論文でChatGPTを引用できる?
執筆過程でChatGPTを使用したのであれば、ChatGPTの引用が必要かもしれません。でも、ここで問うべきは、学術論文でChatGPTを使うこと自体が倫理的かということです。これに関しては、教育機関やスタイルガイドは、必ずしも同意していませんし、規則やポリシーもまだ完成されていない上、変化し続けています。
ほとんどの学術文の出版社は、ChatGPTやその類のツールには著者の資格(ジャーナルのオーサーシップ)を与えるべきではないことに同意していますが、その一方で、引用が正しく記載されている責任のある使用であれば許可しています。”責任のある”とは、自らの出版社の性質と限界を考慮して、剽窃行為と見なされる可能性のある内容創作よりも、アイデアを探究して、文章に磨きをかけ、引用源を見つける(下記でこの問題を取り上げますが、出版社は引用源を見つけるのが非常に下手です)ことです。
念のため、大学の最新のポリシーや投稿先ジャーナルの著者用ガイドラインを確認するべきです。出版社によっては、明確な掲載許可が下りない限り、生成AI(ジェネレーティブ AI)ツールを禁止する場合があります(例Science Journals)が、殆どの出版社は、そのようなテクニックを使用した理由が論文の言語と可読性を向上させる為のみで、自らの作品には自らが責任を持つことを誓って欲しいだけなのです(例Elsevier Journals)。
ジャーナルの執筆や課題を完成させる際ChatGPTの使用が確実に許可されているのであれば、次はガイドラインで、正しい引用方法の説明箇所を探しましょう。全スタイルガイドが新しい規則を取り入れているわけではありませんが、現時点で各スタイルガイド用にお勧めするフォーマットをここでご紹介します。
APAスタイルでのChatGPTの引用方法
APAスタイルにおいてのChatGPTの引用の記載方法は、同ツールを使用してジェネレートした文を記載をする毎に、”OpenAI”と表記し、使用したバージョンの年式(ChatGPTの右下に表示されています)を記載します。
APA参照文献においては、著者として”OpenAI”、タイトルとして”ChatGPT (イタリック体)”、その後に、使用したバージョンの年式を丸括弧に入れて記載します。そして、四角い括弧内に”Large language model”と記載して、URL(https://chat.openai.com/chat)を提供します。ここで注意するべきは、あなたがアクセスしたChatGPTモデルの特定のウエブページのアドレス(Direct URL)は、使用するツールによって異なる場合があるので、誰もがそのDirect URLにアクセスできるというわけではないということです。
APAでは、序章(Introduction)や研究方法(Method)の箇所でのツールの使用方法を記載する事と、使用したプロンプトと生成(ジェネレート)したテキストを提供する事を奨励しています。ChatGPTは各プロンプトに対して特異性のある出力文を生成して、それは他人には復元できないので、付録(appendix)箇所に生成された長文の出力文を記載するのもよいでしょう。
APA ChatGPTの引用例
APA formatAPAフォーマット | OpenAI. (Year). ChatGPT (Month Day version) [Large language model]. https://chat.openai.com |
APA reference list entryAPA参考文献エントリー | OpenAI. (2023). ChatGPT (May 24 version) [Large language model]. https://chat.openai.com |
APA in-text citationAPA文中引用 | (OpenAI, 2023) |
ChatGPTの引用が間違っていないかを確認する為、ワードバイスのAPAスタイルの引用・参考文献自動作成を是非ご利用下さい。
MLAスタイルでのChatGPTの引用方法
MLAスタイル引用・参考文献ガイドでは、ChatGPTを使用して言い換えた箇所(パラフレーズ)や引用文(Quote)を含む、ChatGPTを利用して生成した全箇所の引用を奨励しています。更に、テキスト内でChatGPTを使用した目的(例:校正(プルーフリーディング)、引用句の翻訳)を提示して、引用源を注意深く確認する事を推奨しています。MLAはフィードバックや新しいアイデアを求めているので、生成AI(Genetive AI)ツールを使用して引用したあなた自身の経験をシェアするのもよいでしょう。生成AI引用に関するコメントをここで投函してみるのもよいでしょう。
MLA文中のChatGPT引用は、丸括弧の中の引用符で囲んだ特定のプロンプトの短縮バージョン(3単語)で出来ています。
文献エントリーはタイトル全文(Full Title)を引用符で囲み、”ChatGPT”(イタリック体)、使用したバージョン、”OpenAI”、生成した日、URLの順に記載します。
MLA ChatGPTの引用例
MLA formatMLAフォーマット | “Exact prompt you used” prompt. ChatGPT, Day Month version, OpenAI, Day Month Year, chat.openai.com. |
MLA reference list entryMLA文献エントリー | “Are wealthier people happier than those less well off” prompt. ChatGPT, 24 May. version, OpenAI, 7 Jul. 2023, chat.openai.com. |
MLA in-text citationMLA文中引用 | (“Are wealthier people”) |
ChatGPTの引用方法を理解した今、ワードバイスのMLA スタイルの引用・参考文献自動作成をご覧下さい。
シカゴスタイルでのChatGPTの引用方法
シカゴスタイルでは、ChatGPTは番号付けされたフットノートやエンドノートに著者としてリストされ、テキストが生成された日をその後に記載します。そして出版社やスポンサーとしてOpenAIが続きます。URLの提示はオプショナルです。シカゴスタイルでは、参考文献としてChatGPTとの”パーソナルコミュニケーション(personal communications)”を直接文中に、もしくはエンドノートに記載することは推奨しません。
AIで生成したテキストを編集したという記述は必要です。(例:”edited for style”)。
MLAと同様、シカゴスタイルも、学術文執筆においての生成AIツールの使用に関する規則を改善し続けています。そして更新されるアップデートを定期的に確認することを推奨しています。
シカゴスタイルChatGPTの引用例
文中でプロンプトを提供する場合は、フットノートには”Text generated by ChatGPT”、生成した日、”OpenAI”、そしてURL (general URL)のみを記載します。
同じChatGPTを文中に引用する場合、”ChatGPT”とのみ記載できます。
Chicago long footnoteシカゴ 長文フットノート | 1Text generated by ChatGPT, July 7, 2023, OpenAI, https://chat.openai.com. |
Chicago short footnoteシカゴ短縮フットノート | 2ChatGPT |
文中でプロンプトを提供しない場合は、フットノートに記載しなければなりません。
Chicago long footnoteシカゴ長文フットノート | 1ChatGPT, response to “Are wealthier people happier than those less well off,” July 7, 2023, https://chat.openai.com. |
ノートの代わりに、著者-日付(author-data)法を利用する場合は、文中で括弧内に入れて提供しなかった全ての情報を記載します。
Chicago author-date citationシカゴ著者-日付引用 | (ChatGPT, July 7, 2023, edited for style) |
シカゴスタイル第17版においてChatGPTの引用方法がまだ不明の場合は、ワードバイスのシカゴスタイルの引用・参考文献自動作成がお手伝い出来ます。
バンクーバースタイルでのChatGPTの引用方法
バンクーバースタイルガイドラインは、生成AIツールのフォーマット定義に関しては触れていません。しかしながら、それらのツールは紐づけ出来ない復旧不可能な未出版情報源と見なされるため、”パーソナルコミュニケーション”フォーマットの修正バージョンを使用して引用する事をお勧めします。文中引用で全ての必要な詳細(例えば使用したプロンプトなど)を含めるべきですが、参照文献エントリーは不要です。
バンクーバースタイルChatGPTの引用例
Vancouver formatバンクーバーフォーマット | Type of Communication, Communicator, Date (DMY) |
Vancouver in-text citationバンクーバー文中引用 | I used a generative AI bot to draft a list of potentially useful solutions to this problem (ChatGPT response to prompt “How can we avoid producing too much waste”, 7 July 2023). |
ChatGPTの引用方法がバンクーバースタイルに沿っているか確信が持てない場合は、ワードバイスのバンクーバースタイルの引用・参考文献自動作成を利用して、投稿前に確認してください。
常時ChatGPT源を引用するべき?
研究論文や科学的/学問的論文におけるAIツールの使用に関しては、明確な総意はありません。規則やガイドラインは常に変更している為、執筆にとりかかる前に、許可されている事と要求されている事を確認するべきです。
“ChatGPTに関する研究論文”でAI言語モデル、能力、限界、奇癖を研究しているのであれば、プロンプトの出力文であるデータを提供するべきです。そして、これはChatGPTからのテキストが、論文の文中にコピペが許される唯一の場合ですので、その旨を供述して、引用の主源であることを記載します。
ChatGPTを使って論文の概要を作成したり研究課題を発展する場合、その記載が必要か否やは大学のガイドラインによります。
ChatGPTを事実に基づいた情報源として引用する事は絶対にしないように。それは”幻覚”に過ぎないし、自信を持って作り話をプレゼンしているに過ぎません。ChatGPTのデータの有効化は2021年までしか延長されていない事もお忘れなく。
ChatGPTは情報源の引用や引用をフォーマットしてくれる?
答えはノーです。ChatGPTに引用源を問うと、あたかも出来るような行いをしますが、おそらくそのような情報源のリストは存在しません。AIツールは、文のパターンを複製しますが、インターネット上での検索はしない上、出力文の質に関しては意識していません。
その上、ChatGPTは、こちらが要求するスタイルの正しいフォーマットを使用しての情報源提供は不可能なようですが、ChatGPTの出力文には説得力があるので気をつけるように。代わりとして、この理由の為に作られたWV citation generatorを使用しましょう。
学術文の情報源ワードバイスではAIを活用したライティングツールを提供しています。このツールは、論文の内容を理解して、文法、スタイル、内容を向上する提案はしてくれるものの、幻覚を引き起こしたり自ら文を変えることはしませんので、倫理的な疑惑が発生することもありません。ワードバイスのAIを活用した英文チェッカーや英語言い換えツールは論文の質を向上させ、原本のオリジナリティを強調させ、要約ツール(Summarizing Tool)は情報源の主旨を摘出するお手伝いをします。また、投稿前にプロの校正者によって論文に磨きをかけて貰いたい場合は、ワードバイスのプロによる英文校正/校閲・日英翻訳サービスをご利用ください。