2023年08月31日

研究論文の結論(conclusion)箇所の書き方

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論文内の結論(conclusion)箇所は、論文の内容をまとめて、その論文で提示した内容がなぜ重要であるかを読者に注意する場所です。しかしながら、結論箇所/パラグラフを、研究概要(summary)や、研究を通しての発見と自身の意見と研究の意義の復唱と区別するのは難しいかもしれません。実は、結論箇所ではこれらの全ての要素を少しづつ含めながら、これらの要素範囲を少し超えた記述をしますが、あまり超えすぎてもよくないのです。

結論箇所の構成や内容は、執筆する研究原稿やエッセイによって異なります。そう聞いて既に困惑した方、どうぞご心配なく。ここでは、結論箇所で記載するべき、もしくはするべきではない事項、正しい構成方法、執筆中してはいけない事など、より良い結論箇所の書き方を説明します。

目次

1.結論箇所で記載すべき事
2. エッセイ内での結論の書き方
3.研究論文での結論の書き方
4. 結論パラグラフのアウトラインと、その例
5. 結論の執筆でしてはいけない事

自然の中の滝
結論は研究論文の最後に配置され、読者が研究の重要性を理解するための最終的な出発点を表します。

結論(conclusion)箇所で記載すべき事

既に序章箇所(introduction section)で総合的な研究分野を発表したら、研究背景(background)文献レビュー(literature review)を併合した総合的な情報から理論的解釈(rationale of your study)に続き、それから特定の問題点やトピックを提示します。それらは研究の課題ステートメント(statement of the problem)やエッセイの論文ステートメント(thesis statement)で定式化されています。結論箇所では、上記とは反対で、研究から明確化された発見を総合化して、どのように自らの研究結果が実際の問題解決や文献の重要なギャップを埋める事が出来るのかを読者に理解させる記述をします。ですから、結論箇所の内容は研究の種類や執筆文書の種類によって異なります。しかしながら、いかなる研究結果も、結論箇所は簡潔な要約が重要です。結論とは、論文の最も大切な要点(take-home message)とも言えるからです。

結論箇所には、研究の簡単な要約、研究から分かった発見の簡単な要約、そして大きな視野から見て研究に関連性のある全ての事柄を記載します。たとえそれが初期に作成した主要研究課題に含まれていなかったとしてもです。研究の限界と言い得るのは、例えば、結論箇所に記載するべきか、その結論は別の課題に発展するかもしれないので(研究の初期と比べて)研究の最後には異なる結論を選ぶべきかというような実験デザインの課題です。研究からの発見を読者に注意した後は、その研究が(誰にとってどのように)重要であるか自らの意見や、その発見の理論的/実用的な意義を提供して、今後取るべき具体的な対策を記述するべきです。

エッセイ内での結論(conclusion)の書き方

分析的/説明的/主張的なエッセイの最後おく結論で最も一般的なのは、その名が示す通り、課題や論文の主旨を簡素で明確にまとめた“要約結論”(summarizing conclusion)です。あなたは既にエッセイの本文の中で様々な主張や副題を記述したかもしれませんが、それらの主張や副題が何であったのか、それらが互いにどう組合わされていくのか、そしてあなたが描いた仮説を如何に発展/協働に至ったかを改めて読者に注意するべきです。リクルーターが短時間で最良の候補者を選ぶ過程を分析したり、“科学によると、自らを空腹にすることで寿命をのばすことが出来る”などのエッセイに関しては、エッセイ内で記述した全ての点を要約するだけで十分かもしれません。大切なのは、エッセイで前記した事項を言い返すのではなく、不可欠な詳細をハイライトして別の言い方にして読者に伝えるべきです。

読者に主旨を注意するだけでは足りないと思うのであれば、前述されていない新しい見解を提供するという“外面型結論”(externalizing conclusion)を選んでみては?これらの新見解とは、新しい事実や情報だったり、課題に関連したアイデアではあるけれど前述/論議しなかった見解を意味します。これらの結論はあなたの研究課題や、全く新しい見解から見た分析の意義を考えさせられるような刺激を読者に与えるので、論文に大意を加えることが出来ます。例えば、歴史的出来事や発展を分析した後で、エッセイの課題とは無関係な現代の出来事に読者の注意を向けながら、研究発見を全く別の視点で表せるのです。

“論説結論”(editorial conclusion)は論文やエッセイの終わりでよく見るタイプの結論で、新情報は入れませんが、課題に関する自らの経験や意見を提示して全体をまとめるものです。このタイプの結論の特徴は、論文内で述べた情報に自分は同意する/同意しないと自らが選べるところです。例えば、特定のダイエットが体重を減らす事にもたらす影響に関する情報を収集分析したとして、そのダイエットの継続性や実生活の中での実用性に疑問を抱く事が出来るのです。そしてそれらの疑問が論文執筆の初期の時点では含まれていなかった為、論文内の主な箇所で記述されてない場合、結論箇所で自らの意見を明かすことが出来ます。

研究論文での結論(conclusion)の書き方

通常、研究論文はエッセイよりも簡単簡潔です。なぜなら上手に執筆されている論文は特定された一つの課題に焦点をあて、その一つの課題を解く為の方法を記述、そして結果を記載/説明して、本筋を離れたり無関係な課題を掘り起こす事なく論理的に読者を序説から考察まで導くからです。ですから、研究原稿の最後に配置する結論箇所では、何故、どうのように等、前述の復唱はせずに、出来る限り要点のみに絞ります。例えば、“この研究の結論として、fMRIを用いてストレスが脳に及ぼす影響の調査をした…”(“In conclusion, in this study, we investigated the effect of stress on the brain using fMRI…”)などと書き始めないで、重要点の詳細のみを急所(key point)として繰り返す工夫をするべきです。“fMRI研究の結果、ストレスが脳に及ぼす影響は…”(The findings of this fMRI study on the effect of stress on the brain suggest that…)、もしくは“ストレスが脳に影響を及ぼす事は以前から知られているが、今回行ったfMRI研究では驚くべき発見が….”( While it has been known for a long time that stress has an effect on the brain, the findings of this fMRI study show that, surprisingly…)という方が結論の書き始めとしては好ましいのです。

更に、研究論文の結論には新アイデアや新事実を持ち出すべきではありません。前述した研究背景情報、既に記述した発見、そして前記した限界と意義を一貫するべきです。ここで追加して良いのは、前述されている実践的推薦(practical recommendation)ですが、これも考察箇所で既に考察されている必要があります。

結論(conclusion)段落のアウトラインと例

上記のストレスが脳に及ぼす影響の研究を使って、一般的な結論文の構成を3ステップにして見てみましょう。重要情報を含めながら全てを短文でまとめる簡単なステップです。

ステップ1: 短い研究経過の要約と研究で発見した要点を統一させる:

While it has been known for a long time that stress has an effect on the brain, the findings of this fMRI study in 25 university students going through mid-term exams show that, surprisingly, one’s attitude to the experienced stress significantly modulates the brain’s response to it.

(ストレスが脳に影響を及ぼす事は以前から知られているが、中間テスト最中の25人の大学生を対象に行ったfMRI研究結果によると、驚きにも、過去に経験した事のあるストレスに対する生徒の態度は、脳反応を調整する事が出来る。)
ここで重要なのは、方法論的/技術的な詳細を結論箇所で復唱していない事です。結果と考察箇所、もしくは研究限界と強味の考察でこれらの情報を読者は既に読んでいるのですから。ここでは研究の重要点のみ読者に注意します。

ステップ2: 研究の意義を記述し、誰にとって関連性があるのか明示する事を忘れない

Students could be considered a specific subsample of the general population, but earlier research shows that the effect that exam stress has on their physical and mental health is comparable to the effects of other types of stress on individuals of other ages and occupations. Further research into practical ways of modulating not only one’s mental stress response but potentially also one’s brain activity (e.g., via neurofeedback training) are warranted.

(学生たちは一般人口の特定のサブサンプルと見なされるかもしれないが、既存の研究によると彼らの身体的、精神的な健康に影響するストレスは、あらゆる年齢や他種類に影響するストレスと何の違いもないと発表されている。更に精神的なストレスのみでなく脳活動(ニューロフィードバック トレーニングを通じて)の実用的な変調方法に関する研究でも正当化されている。)

これが“研究の意義”(research implication)であり、研究の限界(スチューデントサンプル)になり得る可能性に触れながら、結局は限界ではなかった(なぜなら既存研究によると、生徒は一般人口として概括化してよいとの事だから)と巧みに結びつけています。ストレス抑制の為のニューロフィードバックに関する多数の研究が既に行われているのであれば、その事は論文の考察箇所で記述するべきであり、それらの研究は“正当化されている(warranted)”とここでは言わないで、あなたの研究発見がどのように将来の特定の実験を激励したり、既存のアプリケーションの実現を可能にするかを記載するべきです。

ステップ3: 結論箇所では正確に論文の内容を反映する事が最も重要なのです。

論文のタイトル(your title)要約(your abstract)、そして投稿用カバーレター(submission cover letter)の全てが同じストーリーを記述していないのであれば、もう一度論文を読み返し、序説箇所(introduction section)から見直して、ストーリーの糸が外れてしまった場所を探してください。一貫性が重要なのです。

結論(conclusion)の執筆でしてはいけない事

–  論文の中で前述が全く無かった新しい情報をいきなり記述しないこと(上記のように、エッセイの執筆で外面的結論を選択している場合は別です)。結論箇所は読者を驚かせる箇所では無く、最も覚えておいて欲しい事項を伝える箇所です。

–  要約や、要約内の結論箇所や、序説の始まりの文をコピーしないこと。考察箇所の最後に配置するべきです。これらの箇所が同じ点に触れているとしても、一字一字同じであってはなりません。

–  結論箇所を“結論として(In conclusion)”など書き始めないこと。ヘッディングが設置されるので、同じ言葉の繰り返しになり、考察箇所の最後の文章になる場合は、不格好で不必要です。読者は論文の最後の文章は研究のまとめである事は予期しているので、それをあえて公表する必要はないのです。自然な結論の書き始めは上記であげた例をご覧ください。

–  研究目的と、初期の頃に研究課題をどうまとめたかを忘れないように。初期の頃に比べて、方法論的問題/情報が理由で、論文のあらすじと接近方法と結論が変更されたのであれば、文書の最初に戻り、終わりだけでなく文書全体を改作するべきです。

   

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