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研究論文における「理論的根拠(Rationale)」とは何?

研究の理論的根拠(rationale of the study)とは、(記事や論文で)その研究を行った理由、もしくは(プロポーザルで)その研究を行うべき理由を示します。つまり、研究の理論的根拠は、読者や審査官に研究の必要性を説明するものです。これを「研究目的(purpose)」や「研究の妥当性(justification」と呼ぶ時もあります。その言葉自体を理解するのは簡単に思えても、理論的根拠が研究課題や研究課題ステートメント(statement of the problem)とどう違い、論文の他の箇所とどう関わっていくのか疑問に思われることでしょう。

研究の理論的根拠は、研究での具体的な問いが発生した背景に連結され、前半箇所を基にしながら、後半箇所で研究の必要性を正当化していきます。つまり、先ず研究課題に関する既存のデータを提供/議論して、それらの背景証拠に基づいて自ら確認した相違や問題点と、それらの相違や問題点に焦点をあてる重要性を読者に伝えるという事です。言うなれば、課題ステートメントとは、理論的根拠に正しく従いながら調査をする研究の課題と、更にその為にとるべきアプローチをまとめた策定なのです。

目次:

1.研究論文の理論的根拠の執筆方法
2. 研究の必要性を正当化する方法
3. 理論的根拠の例: 論文内の配置場所

研究の理論的根拠は、研究目的や研究方法を明確にします。

研究論文の理論的根拠(Rationale)の執筆方法

研究の理論的根拠(Rationale)の基礎となるのは、予備データや考察に関する明確な記述です。基礎理論研究(basic/theoretical research)を行うのであれば、現状認識との相違を明らかにする為の文献レビュー(literature review)が役立つでしょう。応用実践研究(applied/practical research)を行うのであれば、文書の裏付けが十分にあるにしても、更なる調査を必要とする既存の問題点に対する具体的な手法(例えばワクチン承認登録)や実践(例えば患者の治療)を理論的根拠の基礎とします。過去に発表された既存の証拠や考察を提示する事で、既に他の研究家たちが実証した研究を単に繰り返したり、なんとなく研究のアイデアを思いついた訳ではない事を読者に納得して貰いましょう。

その研究を選んだ理由をしっかりと読者に説明した上で、更なる研究の必要性を正当化する事が、あなたの研究の理論的根拠となるのです。このように読者に研究目的を納得して貰い、序説箇所(introduction section)で明確な目標と目的を記述して、系統的アプローチを簡潔に述べた課題ステートメント(statement of the problem)で締めましょう。

研究の必要性を正当化する方法

研究の必要性を正当化するにあたって、幾つかの制限があります。応用実践研究においては、調査を正当化する理由は常に、過去に行われた工程や実践に問題点があったり満足できるものでは無いことです。例えば、とある国、市、地域の住民が、週末の病院のケア状態に不満(スタッフ不足、十分に注意が行き届かない、何も決めて貰えない等)を抱いているとしましょう。そして、あなたが調べてみた所、これらの認知されている問題が実際の物資やケア不足から来るものであるのか、それとも週末に治療を受ける患者のうち、相応の治療を受けられる患者の人数が少ないのかに関する調査が過去に行われていいない事に気づいたとします。この場合、「データ不足(lack of data)」という問題点が更なる調査を正当化する事になるのです。もしくは、明らかに週末のスタッフ不足や受けられる治療内容が限られているとすれば、結果として平日のどの過程が週末に省かれているか、そして、その為に起こる悪影響を調査をしてみるのもよいでしょう。

基礎理論研究においては、知識の欠乏が追加調査を正当化する大抵の理由ですが、それだけが研究を実行する唯一の理由にしないこと。何らかの現象に関して更なる知識が必要であると読者に伝えるのであれば、「過去にこの調査が行われていない」というのは読者を納得させる理由になります。既存の研究に限界が存在しているとすれば、通常「方法論的(methodological)」「背景/文脈上(contextual)」「概念上(conceptual)」の限界に分けることができます。研究の必要性を読者に説明する時、研究に関する具体的な質問を投げかければ、それらの質問が上記の限界の識別に導いてくれるはずです。

方法論的限界(methodological limitations)

  • 過去に研究が試みられたが、特定の現象を測定/認識が出来なかったのか?
  • 過去の研究は間違った変数の概念の基で行われたのか?
  • 過去の研究は疑わしい主概念に基づいて行われたのか?
  • 過去の研究は疑わしく不適当な研究計画の基で行われたのか?

背景/文脈上限界(contextual limitations)

概念上限界(conceptual limitations)

理論的根拠(Rationale)の例: 論文内の配置場所

理論的根拠(Rationale)が序説箇所にどうフィットするかを、以前記載した課題ステートメント(earlier articles on the statement of the problem)の例でみてみましょう。この例はオンライン学習の難点に関する実践研究の非常に短い序説です。あなたが書く序説はもっと長いかもしれません(特に研究コンテキスト背景の箇所)し、この例は情報源が提供されていません(全ての主張と既存研究の引用は提示するべきです)が、注意して見て欲しい所は研究背景の提示(background presentation)、理論的根拠(rationale)、そして課題ステートメント(statement of the problem)がそれぞれ論理的に調和していて、読者があなたの研究の動機や基礎を簡単に理解出来る事です。

研究背景の提示(Background presentation)

コロナ禍の初期以来、世界中のほとんどの教育機関は完全オンライン学習に切り替えた。少なくとも感染とソーシャルディスタンスのピーク時にはそうしていた。この推移は簡単では無かったし、パンデミックが始まってから2年経過した今でもオンライン学習上の問題は続いている(参考文献の記載要)。

テクノロジーや機械器具へのアクセスが可能な人々と可能ではない人々のギャップが大きくなっていったことが主な問題(参考文献の記載要)であると定義づけられている一方、オンライン学習は場所や距離に難関を抱える多くの生徒たちに学習の機会を提供できると主張する人々もいる(参考文献の記載要)。

研究の理論的根拠(Study rationale)

教員と生徒たちはパンデミック前の正常な状況に戻るのを待てない為、ここ2年間に学校や大学が実行した措置、有利点と不利点、これらの措置が生徒たちの進歩にもたらした影響、満足度、身体と精神状態などを理解する事で改良が可能になり、取り残された人口層が直ぐにでも援助を受ける事ができるのです。

課題ステートメント(Statement of the problem)

学習環境のどの部分に変化が発生したのか、そして、その変化が様々な学生の評価に如何なる関連性があるのかを識別する事が最大の課題であった為、米国内の2大都市(ニューヨークとシカゴ)、韓国の1大都市(ソウル)、英国の1大都市(ロンドン)の合計4大都市にある10の高等教育機関の教員と生徒を対象にアンケートとインタビューを行った。生徒たちを異なるターゲット層にまとめ、各層が現状況から受けた影響の違いを分析した。

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