丸括弧(Parentheses )と角括弧[Bracket ]
丸括弧とは一組の丸みを帯びた括弧( )で、追加情報とみなされる数字、単語、フレーズやセンテンスを括るために使います。アカデミックライティングでは通常、数式、頭字語(アクロニム)や文中引用は丸括弧の中に入れます。
文体フォーマットにもよりますが、角括弧 [ ] は直接の引用を修飾する数字、単語、フレーズまたはセンテンスを括るのに使い、文脈の適切な背景を説明する役目を果たします。この場合の修飾は、角括弧を使う執筆者によるもので、角括弧内に入る文の原作者によるものではありません。
丸括弧も角括弧も読み手に追加の情報を与える目的がありますが、その2つの使い方の違いはわかり難いかもしれません。このガイドを読んで、上記2つの句読点の違いを学び、正しく使いましょう。
丸括弧と角括弧の違いとは?
丸括弧と角括弧の最大の違いは、丸括弧は読者に追加情報を提供するのに対して、角括弧の使用は文章の明確化を目的としている点です。
例えば、丸括弧は、筆者が付け加えたい追加説明、頭字語(アクロニム)やその他の補足情報を加える目的でセンテンス内または文中で使われます。そのため、丸括弧が含まれたセンテンスから丸括弧部分を削除したとしても、文意が変わることはありません。
- Example
- The COO position went to Sam Anderson (the son of the current CEO).
- Example
- He received a generous bonus ($5,000) from work.
角括弧は主に原文の著者や実際の発表者とは異なる人により付け加えられており、状況の明確化や情報の追加を目的としています。角括弧を加えることで文の意味が読者にとってより明確になります。
- Example
- He drove 130 [kilometers per hour] on the highway.
- Example
- It was hard for her to finish it [her writing assignment].
並列する丸括弧(Side-by-Side Parentheses)
並列する丸括弧(Side-by-side parentheses)は2つ以上の引用項目を1つのフレーズまたはセンテンス内に一緒に入れる必要がある際に使います。並列する丸括弧の使用ルールは各アカデミックスタイルガイドごとに異なります。
APAスタイルでは、丸括弧の使用は1つだけとし、複数ある引用項目はコロンで分けることを推奨しています。
- Example
- The results of the study were submitted by the Centers for Disease Control and Prevention (CDC; Odin, 2018).
シカゴスタイルでも括弧の使用はは1つだけを推奨していますが、引用項目間に関連性がないときに丸括弧の並列を許可しています。括弧を2つ使う場合には、その2つの括弧の間にスペースを入れてください。
- Example
- The results of the study were submitted by the Centers for Disease Control and Prevention (CDC), (Odin, 2018).
ネストされた丸括弧(Nested Parentheses)
ネストされた丸括弧(入れ子になった丸括弧)は、一組の丸括弧のなかに別の一組の丸括弧が入っているものを指します。ネストされた丸括弧の構造は次のようになっています。 (補足文 (入れ子になった文) 補足文)
イギリス英語で書かれた論文ではネストされた丸括弧の使用が認められているケースが頻繁にあります。ただし、ネストされた丸括弧の使用は可能な限り避け、センテンスを別の表現に換えて1組だけの丸括弧とエムダッシュの両方、またはそのいずれか一方を使うと良いでしょう。
アメリカ英語で書かれた論文でもネストされた丸括弧の使用が認められることが多々ありますが、イギリス英語の場合と同様に、センテンスの表現を換えて括弧は1つだけにすることをお勧めします。もしどうしてもネストされた丸括弧を使用しなければならないケースでは、内側の括弧には角括弧を代わりに使うことを推奨します。
- Incorrect
- (Additional information is available on the website (website link) of the journal.)
- Correct
- (Additional information is available on the website [website link] of the journal.)
丸括弧・角括弧とその周辺にくる句読点
丸括弧内の内容は、センテンス中の独立した要素として扱います。 ピリオドや疑問符・感嘆符といった句読点の位置は、丸括弧または角括弧の内側、外側のどちらでも可能ですが、状況によりルールが異なります。
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丸括弧や角括弧に入れるフレーズが完全なセンテンスの場合は、ピリオドは丸括弧・角括弧の内側に付けます。
- Incorrect
- I want to go home. (I'm so tired.)
- Correct
- I want to go home. (I'm so tired).
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丸括弧や角括弧に入れるフレーズが完全なセンテンスではない場合は、ピリオドは丸括弧・角括弧の外側に付けます。
- Incorrect
- The study will continue into the future (until May 2021.)
- Correct
- The study will continue into the future (until May 2021).
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丸括弧・角括弧がセンテンス内文節の最後にくる場合は、カンマは丸括弧・角括弧の外に付けます。
- Incorrect
- The chart for this data (number of women in the workplace,) is incorrect and the argument should be revised.
- Correct
- The chart for this data (number of women in the workplace) is incorrect and the argument should be revised.
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丸括弧や角括弧に入れるフレーズに疑問符や感嘆符が必要な場合、それらは丸括弧・角括弧の内側に付けます。
- Incorrect
- The woman (the one with a blue dress)! visited me.
- Correct
- The woman (the one with a blue dress!) visited me.
-
括弧でくくったフレーズに疑問符や感嘆符が含まれていて、そのフレーズがセンテンス末尾にくる場合には、それら丸括弧・角括弧の後にピリオドが必要になります。
- Incorrect
- I can't believe he didn't invite me (after all I did for him!)
- Correct
- I can't believe he didn't invite me (after all I did for him!).