カンマ(,)の使い方
カンマ(commas)は英語の言語構造上における重要な要素です。センテンスを異なるパーツごとに区切るために使われます。カンマを正しく使うと文章が明確で読み易くなり、意味の曖昧さを防いで自然な流れを生み出します。 ただ残念なことに、書き手の多くはカンマの正しい使い方にあまり注意を払っていないようです。このガイドでは、英語で文章を書く際、いつ、どのようにカンマを使うのかをわかり易く説明します。
カンマが必要なとき
Incorrect | Correct | |
---|---|---|
適切な接続詞と共に2つの独立節をつなげるとき |
The apple is red the orange is green. |
The apple is red, and the orange is green. |
非制限節を区切るとき |
The apple which is red is for the teacher. |
The apple, which is red, is for the teacher. |
文頭の前置き語句やフレーズを区切るとき |
In the afternoon we are going to pick apples. |
In the afternoon, we are going to pick apples. |
複数の事物を羅列するとき |
He likes apples oranges and pears. |
He likes apples, oranges, and pears. |
文節連結のためのカンマ使用
文節をつなげるのがカンマの基本的機能のひとつです。カンマの使用は文章の自然な流れを向上させるるだけでなく、センテンスがどの部分で変化するのかを明確にします。
独立節と従属節の比較
独立節は一組の主語と動詞から成るペアを含み、完全なアイデアを表現します。要するに、独立節は完結したセンテンスとして機能することができます。以下の例文を見てみましょう。
- The apple is red.
- Apples grow on trees.
- Susan has picked an apple.
一方、従属節は一組の主語と動詞から成るペアを含むものの、完全なアイデアは表現されません。そのため、従属節は完結したセンテンスではありません。
- when it is ripe
- although not all fruits grow on trees
- because it looked delicious
従属接続詞をつけると、独立節が従属節に変わります。
- It is ripe. → when it is ripe
- Not all fruits grow on trees. → although not all fruits grow on trees
- It looked delicious. → because it looked delicious
よく使われる従属接続詞 : because, despite, if, before, although, though, before, after, since, as, unless, until, when, whenever, whether, while
ラン・オン・センテンス(無終止文)およびカンマ・スプライス(カンマ結合)
2つの独立節が正しく区切られていない、または適切につながれていない場合、ラン・オン・センテンス(run-on sentence・無終止文)になります。以下に、2つの独立節を区切る、または適切につなげる3種類の方法を紹介します。
-
ピリオドを使う
各独立節はそれぞれ完結したセンテンスであるため、2つの独立節はピリオドで分けることが可能です。
- 第1文節
- The apple is red.
- 第2文節
- It is for the teacher.
- 結合
- The apple is red. It is for the teacher.
-
セミコロンを使う(2つの文節の関係性により、代わりにコロンを使うことも可能)
2つの独立節が互いに密接に関連している場合にはセミコロンでつなぐことが可能です。
- 第1文節
- Susan likes reading.
- 第2文節
- She has been reading since she was two.
- 結合
-
Susan likes reading; she has been reading since she was two.
コロンも同様な使い方ができますが、2文節が密接に関連していて、その関連性とは、第2文節が第1文節の内容を定義づける役割である場合に限ります。
- 第1文節
- The orange was a favorite of Portuguese sailors.
- 第2文節
- The fruit is high in vitamin C, which is effective for preventing scurvy.
- 結合
- The orange was a favorite of Portuguese sailors: the fruit is high in vitamin C, which is effective for preventing scurvy.
-
接続詞と一緒にカンマを使用する
カンマは接続詞とコンビで使用できます。接続詞を用いる際には、文脈に一番適したものを選んで使うことが大切です。
よく使われる接続詞: and, or, but, so, yet, for
- 第1文節
- Apples grow on trees.
- 第2文節
- Not all fruits grow on trees.
- 結合
- Apples grow on trees, but not all fruits grow on trees.
以下に、2つの 独立節の間違った連結の仕方を3つ挙げておきます。
-
句読点を全く入れない
2つの独立節をつなげる際、最も明らかに間違った方法は、句読点または接続詞を全く入れない連結です。
- Incorrect
- Apples grow on trees not all fruits grow on trees.
-
カンマ単独でつなげる
2つの独立節を適切につなげる際、カンマを単独で使用するのは十分な方法とは言えません。このタイプのミスはカンマ・スプライス(カンマ結合)とよばれています。
- Incorrect
- Apples grow on trees, not all fruits grow on trees.
-
接続詞だけでつなげる
接続詞のみで2つの独立節をつなげるのも十分とは言えません。
- Incorrect
- Apples grow on trees but not all fruits grow on trees.
独立節をつなげる時は、ピリオドやセミコロンといった句読点を加えるか、カンマを入れた後に接続詞を挿入しましょう。
- Correct
- Apples grow on trees. Not all fruits grow on trees.
- Correct
- Apples grow on trees, but not all fruits grow on trees.
主語・動詞・目的格に関するルール
カンマはセンテンスのどこに入れても良い訳ではありません。特に以下の2点に注意してください。(1)主語とそれに対応する動詞をカンマで区切らない(2)動詞とそれに対応する目的格をカンマで区切らない。
主語とそれに対応する動詞をカンマで区切らない
文章を書く際、話者が発話中に間を置く箇所にカンマを入れればよいと考えるケースが多々見受けられます。口語英語では、主語と動詞の間に「間」を置くことがしばしばあります。しかし、英語で文章を書く場合には、主語とそれに対応する動詞の間にカンマが入るとセンテンスの自然な流れが中断されてしまいます。
- Incorrect
- Susan’s roommate Rosa, planted an apple tree.
- Correct
- Susan’s roommate Rosa planted an apple tree.
動詞とそれに対応する目的格をカンマで区切らない
他動詞とそれに対応する目的格をカンマで区切ってはいけません。上記ケースと同様にこれも一見しただけでは気づきにくいミスです。動詞とそれに対応する目的格をカンマで区切ってしまうと読みにくいだけではく、センテンス自体が不自然に見えます。
- Incorrect
- Susan said, her roommate planted a tree.
- Correct
- Susan said her roommate planted a tree.
制限節と非制限節の違い
カンマを正しく使うためには、文節の種類の違いを知っておくことが非常に重要です。なかでも、独立節と従属節の違いが最も重要である一方、制限節と非制限節の違いを判別できることも同じく大切です。
制限節と非制限節 - 何が違うのか?
制限節と非制限節の一番の違いは、そこに含まれる情報の必要性にあります。制限節は名詞または名詞句に関する必要不可欠な情報を提供しています。その一方、非制限節は名詞または名詞句に関する補足的情報を提供します。
- Example
-
The essay that Jane wrote is five pages long.
ここでは、「that Jane wrote」が制限節です。その理由は、この部分がなかったら、どのエッセイが5ページの長さなのかが不明瞭だからです。「Janeがこのエッセイを書いた」という事象は必要不可欠な情報です。
- Example
-
Jane’s essay, which is five pages long, got an A.
ここでは、「which is five pages long」が非制限節です。このセンテンスの主点は、JaneのエッセイがA評価をもらったという点です。Janeのエッセイの長さは補足情報になります。
制限節を区切るためにカンマを使わない
制限節はカンマで仕切ってはいけません。
- (a)
- The girl who sits in the front asks a lot of questions.
- (b)
- The girl, who sits in the front, asks a lot of questions.
上記(a)と(b)では、どちらのセンテンスが正しいでしょうか?まず、「who sits in the front」が制限節か非制限節かを見分ける必要があります。「who sits in the front」がなかったら、どのgirlが沢山の質問をしたのかが不明瞭になりますね。そのため、「who sits in the front」は制限節であり、正しいセンテンスは(a)となります。
非制限節を区切るためにカンマを使う
非制限節はカンマで仕切るべきです。
- (a)
- My friend Amy who sits in the front asks a lot of questions.
- (b)
- My friend Amy, who sits in the front, asks a lot of questions.
上記(a)と(b)では、どちらが正しいでしょうか?ここでも、まず 「who sits in the front」が制限節か非制限節かを見分ける必要があります。Amyが多くの質問をしたことが主要ポイントになっています。彼女が前列に座っていることは補足的情報です。そのため、 「who sits in the front」は非制限節にあたり、(b)が正しいセンテンスになります。
前置き要素の後にくるカンマ
文頭の前置き要素の後には必ずカンマをつけます。カンマをつけることで、どこまでが前置き要素か、また、どこからがメインのセンテンスなのかが明確になります。
- (a)
- After eating lunch with his friends, Peter went to the library.
- (b)
- After eating lunch with his friends Peter went to the library.
(a)と(b)を比較すると、(a)の方が明らかに読みやすいですね。前置き要素である “after eating lunch with his friends” の後ろにくるカンマを取ってしまうと、主語である「Peter」が見つけ難くなってしまうからです。
オックスフォード・カンマ
一般的には、オックスフォード・カンマ、またはシリアルカンマの使用・不使用は自由に決められます(ただし、文章全体にわたって使う・使わないの一貫性は必要です)。アメリカ英語では、オックスフォード・カンマが標準的に使われ、スタイルガイドによっては必須となっているケースもあります。また、オックスフォード・カンマの使用で曖昧さを回避できる場合もあります。
- Example
- Lana wrote letters to her parents, Leia and Michael.
上記センテンスは以下2通りの解釈ができます。(1)Leia と MichaelはLanaの両親の名前である。または、(2)Lanaは彼女の両親とともに、Leia と Michaelという名前の他の二人にも手紙を書いた。Leiaの後にカンマをつけた場合には、Leia と Michaelは他の二人であって、Lanaの両親の名前ではないことが明確になります。
E.g.(例えば)とI.e.(すなわち)
e.g. や i.e.の後にくるカンマに関するルールはスタイルガイドごとに異なります。ただし、アメリカ英語では基本的にe.g. や i.e.の後には常にカンマをつけます。
- Incorrect
- There are many tropical fruits, e.g. mangos, coconuts, and bananas.
- Correct
- There are many tropical fruits, e.g., mangos, coconuts, and bananas.