動詞時制
すべての動詞には異なる時制があります。出来事がいつ起きたのかを示す動詞の属性が時制です。メインとなる時制は3つあり、それぞれの時制に4つの形勢があります。以下は3つのメインとなる時制です。
- (1)
- 過去時制
- (2)
- 現在時制
- (3)
- 未来時制
そして、以下が4つの形勢です。
- (1)
- 単純形
- (2)
- 完了形
- (3)
- 進行形
- (4)
- 完了進行形
動詞時制のリストとその機能
何かが(過去に)起こった、(現在または日常的に)起きている、(将来に)起こることを言い表す際にはそれぞれ異なる時制を使います。
動詞時制 | 動詞の活用 | いつ使うのか? | センテンスの例(動詞「run」使用) |
---|---|---|---|
単純現在形 |
run |
時間の経過に左右されない事実に関して述べるとき |
He runs at the park frequently. |
現在進行形 |
is/are/am running |
現在進行中で起こっていることについて述べるとき |
He is running at the park now. |
現在完了形 |
has/have run |
過去に開始しているがまだ続いていきそうなことを言い表すとき |
He has run every day this week and now looks healthier. |
現在完了進行形 |
has/have been running |
過去に開始しているが今でもまだ継続中の出来事について述べるとき |
He has been running for the past hour, and now he must get ready for work. |
単純過去 |
ran |
以前に起こったことについて述べるとき |
He ran every day for the whole of April. |
過去進行形 |
was/were running |
過去に起こった出来事の継続性を強調する場合で、特にその出来事が他の事象と関連があるとき |
He was running at the park when he sprained his ankle. |
過去完了形 |
had run |
過去の別の出来事よりも前に起こったことについて述べるとき |
He had run daily before he sprained his ankle. |
過去完了進行形 |
had been running |
過去に開始したたが、現在まで継続していること、または最近まで続いていたことに関して述べるとき |
He had been running at the park for two hours, and he had to get ready for work. |
単純未来形 |
will run |
将来起こることについて述べるとき |
He will run every day next month to prepare for the marathon. |
未来進行形 |
will be running |
将来に起こる出来事で、しばらく続きそうなことについて述べるとき |
He will be running every day to train for the marathon. |
未来完了形 |
will have run |
現時点と、将来のある特定の時点との間に完了する事象について述べるとき |
He will have run a marathon by the end of next month. |
未来完了進行形 |
will have been running |
将来の特定の時点まで継続して起こる事象について述べるとき |
He will have been running daily for one month by the time of the marathon. |
単純現在形、単純過去形、単純未来形
まず第一の形勢は「単純」です。単純現在形は、今起きている、または日常的に起こることについて述べるときに使います。単純過去形は以前に起こったこと、単純未来形はまだ起きていないことについて述べるときに使います。
単純現在形を使うとき
今起こっている事象についての描写が単純現在形の最も一般的な使い方ですです。また一方で、時間の経過に左右されない事実や日常的に起こる事象について述べる際にも単純現在形が使えます。
事実と解説
事実、理論、科学的解説などは時間の経過に左右されません。そのため、これらに関する文章は現在時制で書きます。
- Example
- The mass of a closed system remains constant over time.
- Example
- The results demonstrate that the proposed model can effectively increase the efficiency of data collection.
文の内容について述べる
多くのスタイルガイドでは、文の内容やコース内容について述べる際には必ず現在時制を使うことが求められています。事実や解説と同様に、文の内容は時間の経過に左右されないためです。
- Example
- Tolstoy’s Anna Karenina begins with the line, “Happy families are all alike; every unhappy family is unhappy in its own way.”
- Example
- In their 2015 paper, Mishra et al. state that a wide network of health facilities, community workers, and volunteers is characteristic of Nepal’s health system.
単純過去形を使うとき
過去に開始してすでに終了した出来事について述べるときには単純過去形を使います。研究の手順を紹介したり、歴史上の出来事を解説、またはニュースを報道するときにもこの時制が使われます。
研究の手順を報告する
研究方法や研究結果について述べる際には単純過去形がよく用いられています。研究は(多くの場合)過去に行われており、その結果も過去に得られているからです。研究方法(Methods)セクションでは、単純過去の受動態がよく使われています(下記の例を参照)。
- Example
- The compound was synthesized from graphite following the proposed method.
- Example
- A quantitative thermogravimetric analysis was performed.
過去の出来事に言及する
単純過去形の最もわかりやすい使い方は過去に起こった出来事の描写でしょう。過去に起こった出来事とは、ニュースだったり歴史上の出来事かもしれませんし、昨日行った買い物についてでもよいわけです。
- Example
- World War II officially ended on September 2, 1945..
- Example
- I visited my grandmother in Montauk last weekend.
単純未来形を使うとき
単純未来形は、仮説、予測または将来起こる(起こる可能性のある)出来事について述べる際に使います。下記の2つ目の例のように、「will」とメイン動詞の間に位置するタイプの副詞もあります。
- Example
- We hypothesize that the fabricated composite will exhibit good thermal conductivity.
- Example
- The proposed approach will likely facilitate the development of thermally conductive materials.
- Example
- I will visit my cousins in Seattle next month.
未来形の代わりに他の動詞を使う
単純未来形は一般的に、確実性の高さを含意しています。そのため、より「用心深い」動詞、例えば「expect」「suppose」「assume」の使用がアカデミックライティングにおいては適切でしょう。「may」「might」「could」といった助動詞を使えば確実性の暗示を避けながらもその可能性があることが伝達できます。
- Example
- The proposed approach may facilitate the development of thermally conductive materials.
- Example
- I might visit my cousins in Seattle next month.
現在完了形、過去完了形、未来完了形
第2の形勢は「完了」です。完了形は、出来事やアクションが既に完結している、完結した、またはこれから完結する(または「完了する」)ことを表します。
現在完了形を使うとき
現在完了形は、過去に開始しているがまだ継続していきそうな事象について述べたり、過去に起こったことの現況における効果に重点を置く目的もあります。それだけではなく、過去の(特定されない)ある時点で起こった出来事について述べるときにも使えます。
過去の(特定されない)ある時点で起こった出来事について述べる
現在完了形を使うと、ある出来事が、過去の(特定されない)ある時点で起こったことを示すことができます。
- Example
- Lana has made breakfast for her housemates.
- Example
- I have met Keanu Reeves once before.
先行研究に言及する
現在完了形は、あるアクションが既に完了していることを明確にさせます。そのため、どの研究かを厳密に特定せずに、先行研究に言及する際に頻繁に使われる時制です。
- Example
- Previous studies have confirmed that this composite material exhibits good thermal conductivity.
- Example
- We have previously developed a novel platform for large-scale data collection.
過去の功績の重要性を強調する
現在完了形は、過去の出来事の現時点における効果を際立たせます。過去の功績の現時点における重要性を強調する目的でよく使われています。
- Example
- As recent research [1],[5],[24],[26] has demonstrated, the third composite has high fragility, which makes practical application infeasible despite the composite’s high thermal conductivity.
過去完了形を使うとき
過去完了形は、ある過去の出来事よりも前に起きた別の過去の出来事について述べる際に使います。この時制はアカデミックライティングではあまり使われませんが、他のライティングスタイルでは出来事を順序立てて述べるときによく使われます。
- Example
- Tommy was surprised to see that Lana had painted her room bright yellow.
- Example
- I thought, if I had caused the cloud, it was my duty to make an effort to dispel it.
未来完了形を使うとき
未来完了形は、現時点と未来のある特定の時点との間で完了する事象について述べるときに使います。過去完了形と同様、この時制もアカデミックライティングではあまり使われませんが、出来事を時間的流れに沿って述べるときに使える時制です。
- Example
- Lana will have finished painting her room by tomorrow.
- Example
- By the end of the week, I will have left for Australia.
現在進行形、過去進行形、未来進行形
3つ目の形勢は「進行」です。進行形は、出来事の継続性を表す時制です。
現在進行形を使うとき
現在進行形は、今まさに進行中の出来事について述べるときに使います。これもアカデミックライティングではあまり使われない時制ですが、日常的生活や、アカデミック以外のライティングでは頻繁に使われています。現在進行形は、出来事が将来起こる可能性や、この先に行う意図がある行動について述べる際にも使えます。将来の研究や、研究結果の見込みについて述べる際に役立つ時制でしょう。
現在の、または現在進行中のアクションや出来事を述べる
進行中のアクションや出来事の描写が最も一般的な現在進行形の使い方です。
- Example
- Lana is painting her room a bright sunflower yellow.
将来起こる出来事や研究について述べる
アカデミックライティングでは、期待される結果や将来の研究について述べる際に現在進行形をよく使います。現在進行形は将来的な意図について述べる際にも使えるからです。
- Example
- We are expecting future studies to help further elucidate the mechanics behind this result.
- Example
- We are planning to further investigate the mechanics behind this result.
過去進行形を使うとき
過去進行形は、過去の出来事が、特に過去の別のアクションと関連性があるとき、その出来事の継続性を強調する目的で使われます。
- Example
- Lara was painting her room until her brother interrupted.
- Example
- The company was still recovering from the recession when its CFO died unexpectedly.
未来進行形を使うとき
未来進行形は、しばらくの間続きそうな出来事を表現するときに使います。
- Example
- Lana will be painting her room yellow this upcoming weekend.
- Example
- I will be studying for my exam later.
完了進行形(過去、現在、未来)を使うとき
過去完了進行形と現在完了進行形は、過去に開始して現在も継続している事象について述べるときに使います。また、過去の出来事やアクションの現在における影響・効果を強調する目的でも使われます。未来進行形は、出来事が未来のある特定の時点まで継続することを表し、その出来事が継続する期間に重点を置く目的もあります。以下の3つのセンテンスは順に、過去完了進行形、現在完了進行形、未来完了進行形の例文です。
- 過去完了進行形
- He had been learning Japanese for six months when he got the opportunity to visit Japan.
- 現在完了進行形
- He has been learning Japanese for almost three years.
- 未来完了進行形
- Next month, he will have been learning Japanese for three years.