定冠詞と不定冠詞(a/an/the)
冠詞とは、名詞または名詞相当語句の前に位置して、名詞等を修飾する形容詞(限定詞)です。
冠詞を見れば、その名詞が特定なものか不特定なものかが判断できます。定冠詞(「the」)は名詞を特定なものと特徴づけ、その名詞が何であるか既に判明していることを意味します。不定冠詞(「a」または「an」)は名詞を不特定なものと特徴づけ、その名詞が何であるのかまだ判明していないことになります。
- Example
- The flower smells nice.
- Example
- A flower smells nice.
1つ目の例は、「良い香りがする1つの特定の花がある」と述べています。2つ目の例は、一般的な意見であり、次のような意味を持ちます。「花はどれもいい香りがする」または「すべての花はいい香りがする」
目次
- 1.定冠詞とは?
- 2.不定冠詞とは?
- 3.形容詞の前に冠詞を付ける
- 4.冠詞と代名詞
- 5.冠詞を省略するとき
定冠詞とは?
定冠詞「the」が付いている場合、その名詞が何か明確にわかっており、それが書かれた文章の文脈中でもその名詞はすでに一度言及されている、もしくはそのどちらかの場合であることを意味します。
- Example
- The gallery teaching program was designed for the Whitney Museum of American Art.
ここでの「gallery teaching program」は、ある特定の美術館(この例の場合はthe Whitney Museum of American Art)用に作られた1つの特定プログラムです。
- Example
- These three methods of fabricating the composite were demonstrated to be the most efficient.
ここでの「composite」はある1つの特定の混合物です。この文章からは、この混合物はこれより前にそのアイデンティティーが特定されていることが’推測できます。
- Example
- Chronic anxiety was found to significantly increase the likelihood of Alzheimer’s in later life.
「Likelihood of Alzheimer’s」は不可算名詞です。ただし、ここでは特定の不可算名詞になります。
When to use definite articles 定冠詞を使うとき
名詞の種類 | 用法 | 例 |
---|---|---|
可算名詞 |
全体、特定のグループ 唯一特定なもの、数えられるもの |
The refrigerator was invented in 1834. The earth is not perfectly round. |
不可算名詞 |
唯一特定なもの、数えられないもの 名詞1+of+名詞2 |
The evidence is indisputable. Sally is the mother of the child. |
不定冠詞とは?
不定冠詞である「a」や「an」は、名詞が特定されていないことを意味します。
- Example
- The addition of an external heating system, while useful, continuously consumes power and weighs down the vehicle.
ここでの「external heating system」は特定の外付けヒーティングシステムを指しているわけではありません。この文章の意味は次のようになります。「ヒーティングシステムはどれも便利ですが、ひっきりなしに電力を消費し、車に重みも掛かる。」
- Example
- “Fragmentary Blue” is a poem by Robert Frost.
ロバート・フロストは数多くの詞を書いており、「Fragmentary Blue」はそのうちの1つです。
- Example
- An irregularity was identified in the composite.
不定冠詞の「an」から推測すると、この「irregularity」は、ここより前の文中では定義されていないと思われます。これ以降にこの特定の「irregularity」に言及する際には定冠詞の「the」を使います。
- Example
- An irregularity was identified in the composite. The irregularity was caused by a leak in the vacuum chamber.
不定冠詞を使うとき
名詞の種類 | 用法 | 例 |
---|---|---|
可算名詞 |
可算名詞の一員 可算名詞について初めて言及する時 |
I would like a book on scorpions. We found an anomaly. |
不可算名詞 |
不定冠詞は一切付けない |
N/A |
「a」と「an」のどちらを使うのか
「a」「an」のどちらを選ぶかは、その後にくるワードの冒頭の発音によります。冠詞の後にくるワードが子音の発音から始まる場合、冠詞には「a」を、母音の発音から始まる時には「an」を使います。例えば、「apple」の冠詞には「an」を使います。「apple」というワードは母音および母音の発音で始まるからです。
- Example
- A good notebook should have a sturdy cover and tear-resistant paper.
- Example
- I peeled an orange for my sister.
- Example
- An SSD contains nonvolatile flash memory.
不定冠詞と不可算名詞
一般的に、不可算名詞に不定冠詞は付けません。
- Incorrect
- There is a snow outside.
- Correct
- There is some snow outside.
1つ目のセンテンスの場合、「snow」は不可算名詞であるためこの例文は誤りです。ただし、不可算名詞であっても場合によっては可算名詞として扱うケースもあります。ただしこのようなケースは、学術分野以外のカジュアルな内容の文章に限られます。
- Example
- I will have a water.
- Example
- Can you pass me a sugar?
「a coffee」がここでは「a cup of coffee」という意味で使われていると想定できます。同様に、「a sugar」は「a cube of sugar」という意味で使っているのでしょう。
形容詞の前に冠詞を付ける
冠詞により修飾されている名詞は、同時に他の形容詞にも修飾されていることが多くあります。この場合、一般的にはまず冠詞、次に形容詞、そして名詞の順になっています。
- Example
- An unusual dent was identified in the composite.
- Example
- We propose an effective method of regulation.
- Example
- The first basic method of modeling was based on a differential equation model.
冠詞と代名詞
冠詞は代名詞と一緒には使えません。冠詞と代名詞はどちらも特定性を表す役目があるため、その両方を使うとわかり難くなるだけです。
- Incorrect
- Here is the your computer.
- Incorrect
- Can you help me find a my notebook?
ただし、文脈によっては定冠詞と代名詞を同じ意味で使うことができるため、どちらを使ってもよい場合もあります。
- Example
- Here is the computer.
Here is your computer.
冠詞を省略するとき
冠詞が含意されていて明確に記載する必要がない場合、名詞の前にくる冠詞を省略することも可能です。次のケースでは一般的に冠詞を省略します。
(1)言語・国籍の前
(2)教科名・専門分野の前
(3)一定の抽象的概念の前
言語や国籍について述べるとき
Articles are always omitted before languages. 言語名の前には冠詞を付けません。
- Incorrect
- Phil is learning the Japanese.
- Correct
- Phil is learning Japanese.
文脈によっては、国籍名の前の冠詞も省略できます。
- Example
- Lana is the American.
上記センテンスが意味するのは、複数の人がいるがアメリカ人は一人だけ(そしてその女性の名前はLana)という意味になります。
- Example
- Lana is American.
Lana is an American.
一方、上記2つのセンテンスでは、単にLanaの国籍はアメリカだということを述べています。
教科名やその他の専門分野について述べるとき
教科名や、スポーツのような専門分野名にも冠詞をつけません。
- Incorrect
- He studies the physics at university.
- Correct
- He studies physics at university.
- Incorrect
- The gymnastics is a highly demanding sport.
- Correct
- Gymnastics is a highly demanding sport.
抽象的概念について述べるとき
抽象的概念について記述する際、一般的に冠詞は必要ありません。抽象的概念は特定のものではなく、冠詞は特定性を表すからです。
- Incorrect
- The beauty is in the eye of the beholder.
- Correct
- Beauty is in the eye of the beholder.
- Incorrect
- The love is blind.
- Correct
- Love is blind.