能動態と受動態、どちらを使う?
主語が動詞の動作を行う側である場合、センテンスは能動態になります。
- Example
- The girl has written a letter.
動作動詞を使った英語のセンテンスのほとんどが能動態で書かれています。一方で、能動態で書かれたセンテンスの語順を変えることで、受動態に書き換えられるセンテンスもあります。主語が動詞の動作を受ける側である場合、センテンスは受動態になります。
- Example
- The letter has been written by the girl.
「態」とは?
英語の動詞には、態、法、時制、人称、数という5つの要素があります。文法上の「態」は2つあり、それらを「能動」「受動」と呼びます。能動態の場合、主語が動詞の動作を行う一方、受動態の場合には、動詞が主語に対して動作を行います。同じ内容を、能動態と受動態の両方で書き表せるケースもよくあります。
- Example
-
We fabricated the composites in a clean room. (能動態)
The composites were fabricated in a clean room. (受動態)
能動態は主語、または動作を行っているモノを重視しています。その一方、受動態は、動作または動作を受ける側に重点が置かれています。一般的に、生徒たちは学校で、受動態の使用は極力避けるよう教えられています。これは、どちらかというと能動態で書かれたセンテンスの方がより力強く、簡潔だからという理由からです。ただし、内容によっては受動態の方がふさわしいケースもあります。またアカデミックライティングにおいて一人称代名詞の使用を避けたい場合にも、受動態が役立ちます。
目次
能動態と受動態との違い
能動態とは?
上で説明したように、主語が動詞の動作を行っている場合、センテンスは能動態になっています。
- Example
- We collected the samples.
上の例では、主語は「We」、動詞が「collected」、目的語が「the samples」ですので、この文の構造は次のようになっています。
主語-動詞-目的語 または、動作を行う側+ 動作 + 動作を受ける側
これが能動態の文の構造です。受動態のセンテンスと比べると、能動態のセンテンスは直接的かつ簡潔です。そのため、多くの場合において受動態より能動態の方が好ましいと言えます。
受動態とは?
動詞の動作が主語に対して行われる場合、センテンスは受動態になります。受動態では、行為の動作主ではなく、動作そのもの、または動作の受け手に重点が置かれます。受動態のなかには動作主を完全に省略できるものもあります。
- Example
-
The samples were collected by us.
The samples were collected.
上記センテンスの構造は、動作を受ける側 + 動作 + 動作を行う側 となっています。しかし、動作そのものと、動作の受け手をより強調するために「動作を行う側」を削除することも可能です。このような「動作を受ける側 + 動作」の構造は学術論文で多く用いられています。
いつ能動態を使うべきか
受動態のセンテンスと比較すると、能動態のセンテンスは一般的により説得力があり簡潔でもあります。そのため通常、文章は能動態で書くのが好ましいでしょう。また、センテンスの重点を動作を行う側に置く必要がある場合には能動態を用いるのが適切でしょう。
- Example
-
She studied physics. (能動態)
Physics was studied by her. (受動態)
上記2つ目のセンテンスは、1つ目と比べると文として弱く、また若干不自然に聞こえます。そのうえ、2つ目のセンテンスの方が1つ目よりも冗長な印象を与えます。
- Example
-
We developed a novel method of fabricating gold composites. (能動態)
A novel method of fabricating gold composites was developed. (受動態)
上記1つ目のセンテンスは、「we」が新たな手法を開発したことが強調されている一方、2つ目のセンテンスは、開発された手法そのものに重点が置かれています。
受動態に変換できるのは、直接目的語を含んだセンテンスに限られる点に注意することが大切です。
- Active (Correct)
- The cat sat on the table.
- Passive (Incorrect)
- The cat is sat on the table.
このセンテンスには直接目的語がないため、受動態に書き換えることはできません。「on the table」は前置詞句であって、動作の受け手ではありません。
いつ受動態を使うべきか
能動態のセンテンスと比較して、受動態は冗長で不自然になりがちです。受動態にすると、前置詞句の多用につながる可能性もあります。しかし、受動態は(行為の動作主よりも)動作の受け手や動作そのものに重点が置かれることから、内容によっては受動態の使用が好まれる場合もあります。
(1)行為の動作主よりも動作そのもの、または動作の受け手に重点を置く場合
- Example
- Ten samples were collected.
この例では、誰が回収したではなく、サンプルおよび、それが回収された事に重点が置かれています。
(2)行為の動作主の指定を避ける場合
- Example
- Several errors were overlooked.
ここで受動態を用いる場合、ミスを見逃した人を特定しないでおくことができます。このように、受動態のセンテンスは、誰かを非難するトーンを避けるときによく使われ、何らかのミスを指摘する際の気の利いた方法でもあります。
(3)行為の動作主が不明(または重要でない)場合
- Example
- Cynthia’s home was robbed last month. The police have not yet narrowed down the suspects.
この例文では、Cynthiaの家に強盗に入った犯人がまだ特定されていないため、受動態の使用は理にかなっているでしょう。もし上記例文を能動態で書き換えるとしたら「Someone robbed Cynthia’s home last month」となるでしょう。このセンテンスでは、Cynthiaが強盗に入られた事実よりも、Cynthiaの家に強盗に入ったがまだ特定できていない人物がより強調されます。
(4)文のトーンに権威感を持たせるとき
- Example
- Boarding the train without a face covering is not permitted.
(5)複数のセンテンスを通して重点の一貫性を維持する場合
- Example
- Group 2 collected the samples. The samples were then analyzed by Group 1 using HPLC.
上記例では、第2センテンスを受動態にすることで、2つのセンテンスで共通の強調点を維持することができます。2つのセンテンスを合わせると、サンプルを回収して分析した個別グループよりも、サンプルそのものに焦点を当てることができます。
センテンス中の受動態を能動態に変える方法
上記したように、直接目的語を含んでいる能動態のセンテンスは受動態への変換が可能です。能動態のセンテンス構造は次のようになっています。
動作を行う側 + 動作 + 動作を受ける側
一方、受動態のセンテンス構造は次のようになっています。
動作を受ける側 + 動作 + 動作を行う側
そのため、センテンスの要素の語順を変えるだけで、能動態から受動態へと変換できます。
- Example
-
We administered increasingly potent concentrations. (能動態)
Increasingly potent concentrations were administered (by us). (受動態)
センテンスの能動態から受動態への変換方法:
(1) 直接目的語の位置を主語と交換する
(2) 主語の「we」の形を変えて「by」で始まる前置詞句に入れる
(3) 主動詞「administered」の形を変え、助動詞「be」を加える
受動態から能動態への変換方法は、上記ステップを逆の順番で行います。
(1) 主語だった語を目的語にする
(2) 前置詞「by」を削除し、目的語だった語を主語とする
(3) 主動詞の形を変え、助動詞「be」を削除する